いざ、旧満州の地へ
結局、徹夜し、朝方にやっと荷造りができる状況になった。
9時30分、市役所に向かい、参加者が全員集合して、ご挨拶。荷物を載せ。バスで一路、新潟空港まで向かう。今回の旅は慰霊であり、事務局はかなりの大荷物となっている。
11時、新潟空港3Fのレストラン「シルバースカイ」にて、「松花堂ご膳 1800円」 を食べながらの結団式。
今回の慰霊の旅には、市長をはじめとする市当局の他に、柏崎商工会議所の専務理事も参加する。
なぜ、柏崎商工会議所からも参加するのかといえば、満州柏崎村開拓事業は、国策に基づいた、柏崎市及び柏崎商工会議所共同の大事業であったからである。
昭和17年4月4日、満州柏崎村開拓農民第一次先遣隊29名の壮行式が、現在も西本町に残っている旧公会堂で行われた。
*この写真の向かって左側に、「五族協和」を示す五色の国旗が掲揚されている。
以後、「王道楽土」を目指し、5月15日に第二次団員家族35名、本隊12名が6月8日に出発し、翌年の現地には総勢207名となっていた。
「五族協和」:
満州、日本、朝鮮、蒙古、漢(支那)の五族が協力する平和な国。
満州国旗の黄色は満洲人、赤が日本人、青が朝鮮人、白が漢人、黒が蒙古人をあらわす。
「王道楽土」:
覇道ではない、アジア的理想政治国家(楽土)を建設する
また、今回の慰霊の旅には、我々、柏崎満州開拓団の他に、長野県の太古洞開拓団の方も一緒に向かう。
新潟空港のロビーでは、観光客のため『佐渡おけさ』の講習会をやっていた。空港の待ち時間をもてあます人や出迎えの方の多くが真剣に見入っていた。
県外の人に、柏崎を説明する際、有名な『佐渡おけさ』は有効であり、3番を歌って説明する。
「ハァー 佐渡と柏崎は 竿さしゃ 届くヨ
アリァアリァアリァサ 橋をかけたや 船橋を」
12時過ぎ、中国南方航空CZ616で、一路、ハルピン空港に向かう。
羽根のすぐ横の席になってしまったが、今回の飛行機は羽根にジェットエンジン4機がついたジャンボ機ではなく、後方に2機のジェットエンジンがある機(マクダネル・ダグラスMD-90)で、爆音に悩まされなく、助かった。
水平飛行になった途端、昼食の機内食がでる。さっき食べたばかりであるが、残すことが嫌いなので、苦しいながらも何とか食べる。
小袋に漬物が入っており、漬物をぼりぼり齧っては、ご飯を口に放り込む。
機内食を食べ終え、ふと座席前の緊急時避難シートを見ると、きわどい写真が目についた。
避難手順を説明する写真で、ミニスカートをはいた女性の股が、微妙な見え具合なのである。早くもハニー・トラップにかかった感があった。
*写真をクリックすると大きくなります。
1時間の時差があるので、時計を1時間戻す。15時30分ハルビン空港に到着。
ハルビン(哈爾浜)市は、黒龍江省の省都で、8市区、4県級市、7県を抱える941万人の都市で、新潟市との友好都市を締結している。市の名前は「白鳥」を意味する満州語「ハルウェン」に由来する。また、中国では、日本と違い上から「省-市-県」の関係である。
入国審査を終え、トイレに入ってみたところ、面白い表記があった。日本でも、「急ぐともここ静かに手をそえて外へもらすな松茸の露」といったシャレ心ある注意事項がたまに書いてあるが、中国にも同様であった。
空港をでるとライラックの花が綺麗に咲いていた。
今回の受け入れを担当してくれた黒龍江省人民政府外事弁公室の徐さんと張さん。随時、説明もしてもらう。
早速、中国国内では一番古いハルビンビールを頂戴した。現在の日本で主流となっているプルタブ方式ではなく、懐かしのカチョンと引っ張る栓。味は軽い感じのビールである。
ハルビン空港から市内までの高速道路はハルビン工業大学が作り、収入は大学となるそうである。
今日はハルビン市内を通過するだけであったが、これでもかと言わんばかりに人があふれ、活気があった。
ハルビン市内を抜け、ひたすら高速道路を走る。途中、ガソリンの補給とともに、トイレタイムとなったが、トイレは「厠所」と表記してあった。漢字のありがたみを実感する。
空港到着から約5時間半、21時に依蘭(いらん)県に入る。
宿泊先の、五国城賓館ホテルに到着。ホテルの名前にもなっている「五国城」は、ここから東にむけて5つの城があるその最初という意味とのこと。
ホテルの部屋に荷物だけ置いて、早速、依蘭県副県長である趙氏との歓迎の夕食会となった。
趙氏から歓迎のご挨拶もあり、和気藹々と懇談しながらの夕食。途中、団長から「共産党には入らないよ」との発言もあり、徐さんがそれに応酬したが、議論は議論として話が進んだ。
ただ単に「友好」と言って、相手に都合の良いことばかり言うのは本当の「友好」ではないであろう。お互いに言いたいこと言ってからが本当の「友好」である。毛沢東は、田中角栄元首相にこんな事を言っている。
「もう喧嘩は済みましたか。
喧嘩しなくちゃ駄目ですよ。
喧嘩して、はじめて仲良くなるのですよ」
依蘭県は、古くから満州族が住む地で、清室祖宗発祥の地。北宋の最後の皇帝、徽宗が皇太子とともに捉えられ、その身を置かれたのが五国城(靖康の変 1127年)。ホテルの近くには、幽閉された井戸があるというが団体行動のため、見学することができないとのこと。ちなみに、中国の格言である「井戸に座って空を見る」とは、ここからきている。
料理は、田舎料理とのことで、タンポポや山菜、薬草類を使ったものが多く、黒龍江省のなかでもお金に余裕のある層は、こういった料理をわざわざ食べにくるという。
個人的に一番気に入ったのは、スライスした乾豆腐に挽肉と豆の味噌をのっけて食べる料理であった。また、飲み物も「山ほおづき」のジュースが名産とのことで、苦味と甘みの絶妙なバランスが良く、商品名「葒菇娘」がこれまた良い感じである。
23時近く、夕食会が終え、部屋に戻る。
ホテルは国営なものの、ブロードバンドなどの設備もなく、インターネットも使えない。外線でのダイヤルアップ接続も考えたが、モデムの相性が悪く、AT追加信号も試みたができず、結局あきらめてしまった。
洗面所は、トイレの便器とシャワー室がセットになっており、もちろんの事ながら湯船はない。シャワーを浴びて寝ようと思ったものの、お湯がでず、水もポチャリ、ポチャリで、まるで精神的な拷問を受けているような感じであった。
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いってらっしゃい! くまぐまは記事を楽しみにしています。 こちらはいい天気です、向こうもいい天気だといいですね。
投稿: くま1 | 2006年5月14日 (日) 10時02分
くま1さん、コメントありがとうございます。
お陰様で天気には恵まれました。
数日中にブログにて、すべてご報告したいと思います。
投稿: 三井田孝欧 | 2006年5月20日 (土) 11時39分