『環境と情報の世紀』月尾嘉男氏講演
車中で仮眠したのち、都内をでる。4時過ぎ、自宅に到着。風呂に入ったのち、9時まで仮眠。次の議会に向けた資料を整理する。一般質問で聞きたいことが山ほどあるので、どの質問にしようか選択に困っている。
12時、大粒納豆の納豆ご飯2杯でブランチにし、16時まで市内で各種の手続きや鉄道活性化計画コンペの資料を配りまくる。
16時30分、メトロポリタン松島にて柏崎・刈羽の4ライオンズ(柏崎、柏崎米山、刈羽、柏崎日本海)合同例会講演会に出席。東京大学名誉教授・月尾嘉男氏による講演『環境と情報の世紀~地球は病んでいます。今なら間に合います~』を聴講。
~講師プロフィール~
1942年愛知県生まれ。1965年東京大学工学部卒業。1971年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1978年工学博士(東京大学)。1972-75年(株)都市システム研究所所長。1976-88年名古屋大学工学部助教授。1988-91年名古屋大学工学部建築学科教授。1989-92年東京大学生産技術研究所第5部客員教授(併任)。1991-99年末末大学工学部教授。1999-02年東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。2002-03年総務省総務手練官。2003年より東京大学名誉教授。専門はメディア政策。地域振興と環境保護のため、地域の人々と知床半島塾、釧路湿原塾、羊蹄山麓塾、白馬仰山塾、宮川清流塾などを主宰。著書に『装置としての都市』(鹿島出版会 1981)『賛沢の創造』(PHP研究所 1993)『IT革命のカラクリ』(アスキー 2000)『革命するは我にあり』(日本実業出版 2001)『日本・百年の転換戦略』(講談社 2003)『縮小文明の展望』(東京大学出版会 2003)などがある。趣味はカヤック、クロスカントリースキー、登山。2004年2月南米大陸南端のケープホーンをカヤックで漕破してケープホナーとなる。
(1)環境に対する目
時間があったら見てもらいたい映画は『不都合な真実』
(2)地球の特異性
宇宙には星がある無数の星、太陽系には9つの惑星があり、内側から3番目が奇跡の星、地球。
なぜ奇跡からといえば、金星のように一つ太陽に近いだけで表面温度400度、一つ遠い火星は-5度。真ん中の地球はちょうどいい大きさとちょうどいい表面温度14度。
さらにいえば、水がふんだんにあり、70.8%が水に覆われているので、地球ではなく、水球といった方が良い。ガガーリンの「地球は青かった」の言葉にも表れている。
宇宙全体では同じ条件の星があるかも知れないが、現時点で太陽系のなかでは地球だけ。
多様な環境のなか、多種の生物が暮らしている。しかし、ここに環境問題の現実がある。
(3)資源の枯渇。
・鉱物資源の消滅
金はあと18年で終わり。人間がこれまでに掘った金は50mプール2杯分しかない。海のなかにも金はあるが、経済的に取り出せない。鉛25年、銀が20年、鉄が150年。ニッケルは、50年。46億年の地球の歴史、地上に生物がでた4億年に比べて、ここ1000年で資源を使いすぎた。10万分の1の時間で全部使い尽くす。
・エネルギー
石油は40年。新しい発見があっても80年。ウラン鉱石は80年程度。原子力サイクルを行えば140年程度は可能。
地球の歴史の長さから見れば、ほんの一瞬の間に、エネルギーを使い尽くしている状況。
・今後は、物も無くなり、さらにお金でも買えない。
・森林も無くなっていく。
世界中の森林はあと400年で伐採し尽す。
ゴルフ場1日、500コース分の森林が毎日壊されている。
アフリカは120年で終わり。アマゾンは240年で終わり。
そのおかげで10分間で1種類の動植物が絶滅している。年間で5万種類が消えている。その一例が昨年のマグロ騒動。日本の淡水魚の4分の1がまもなく消える。(北海道のイトウ、ニホンカワウソなど)。メダカはまもなく絶滅する。人口養殖でメダカはもっている。
・水も大変。地球の海の97%が海にある。3%のうちさらに70%が南極の氷や高山の氷河。30%が地下にたまっている。1%未満が生物の使っている量で地球上の水の0.08%しか使っていない。
・世界の人口の8割は安全な水を使えるが2割が10秒間に一人で悪い水で死んでる。年間360万人が死んでいる。2050年には、地球の90億人が人口になるが、70億人が安全な水にありつけない。揚子江に捨てられるごみの量は1日4000万トン、日本で出すごみの年間量は5250万トン。黄河は、この川は270日ぐらい河口まで水が到達しない。河口の幅が30kmで人が歩いてわたれる。日本の場合はどうか。多層水。米1キロに対して4000キロの水を使う。小麦を1キロの場合は2200キロの水が必要になる。牛肉1キロを入手するためには、は14400キロの水が必要になる。
・日本が小麦や肉を輸入している以上、水を持ち込んでいることと同じ。日本の水の3分の2を農業が使い、それと同じ量の水を輸入しているに等しい。食料自給率を上げるためには、今の水の倍が必要になる。日本も水に関しては安泰ではない。
・地球の温度も上がっている。過去100年で1600年を基準にすると0.8度上昇している。ここ100年で異常に上がっている。空気全体が0.8度上がっているので、とてつもない熱量があることになる。今後は、国連の発表によれば、最悪の場合は今後100年で6.8度あがる。海は70センチ上昇する。2年間に瀬戸内海で庄戸島で聞いたら、漁師は自分の子供ときよりも60センチ上がっているという。潮の関係もあり、平均で70センチでも影響は大きい。 首都東京が水没することも考えられる。防波堤のかさ上げが必要になる。2040年の夏には北極から氷が無くなる。北極シログマはえさとなるアザラシがとれず、絶命するだろう。
・「エコロジカル・フットプリント」という概念。
生態足跡面積=
食糧生産面積+資源生産面積+社会基盤面積
2004年で計算すれば、日本は実質4.4ヘクタールしかないが、7.7ヘクタールの面積を使っており、3.7ヘクタール足りない分は日本は外国の土地を借りている。
世界全体でも生態足跡面積が大きくなっている。2.2ヘクタールが地球上の人の平均。地球にある実面積は1.8ヘクタール。0.4ヘクタール不足している状況。その不足分は、年間5000万人が飢餓に苦しみ、年間500万人が死に、年間300万人が十分な水が足りていないことで調整されている。
・地球がもちこたえる人口
1986年に地球と人口と割合は1でちょうど良かった。2001年は1.2個の地球は必要になり、0.2足りなくなった。2050年には1.5倍の人口になるので、地球が1.8個必要になる。
・2050年には食料争奪戦争、水の争奪戦争になる。世界は数億なら人類は暮らせるが人口が爆発的に増えている現状を考えると人口を減らさないまま、どうやって人類が維持できるのかを考えることが必要。
・節約が必要になってくる。エネルギーが天然ガス(70年しかないが)を使う。バイオマスも必要。風車や太陽などの新エネルギー、そして原子力。最後の手段が海。海や地中に炭酸ガスを溜め込む技術も開発されてきているが、まずは地球がどういう状態にあるのか、確認することが先である。
・技術革新も進んでおり、電気冷蔵庫などは1993年製と2004年製では使う電気は3分の1。大型テレビは5分の1。
・1km移動するのに、車は人間の18倍、飛行機は8倍。つまり、人類はエネルギーを消費することで便利さを享受している。新聞は1日、朝刊夕刊を合わせると、使うエネルギーは、1200キロカロリー。電子新聞は、60キロカロリー(コンピュータ作るエネルギー、通信インフラを入れて)。ITで省エネルギーできる。紙の本と電子ブックは40分の1。年賀状も電子メールで行うことでも省エネルギーにできる。
つまり習慣を変えることで、省エネルギー、地球の環境保全に寄与できる。
(4)リサイクルや伝統
・1トンの銅を手に入れるには、420トンの銅鉱石が必要になる。銀は7500、金は350000、ダイアモンドは5300万トンでやっと1トン。10グラムの金の指輪を作るために。3.5トンの岩を掘っている。
・リサイクルが必要。85トンのボーキサイトを処理しないと、アルミを1トンがとれない。3.5トンの廃アルミから1トンのアルミがとれるので、ジュースの缶などは積極的にリサイクルすべき。
・伝統再考
ゴッホが江戸時代の浮世絵を見た例。桂離宮もブルーノ・タウトの発見。つまり、日本は自らの文化の良さをなかなか理解できない面白い民族。
・1977年、マクガバン・レポート。アメリカの医療費の増大にアメリカの財政が破綻。では食を見直そうとのことで、日本食が有効だとレポートがだされた。200億円で、2年間海外各地に学者を派遣したが、最終結論は、元禄時代の日本の食文化であった。これが鮨ブームの基になった。そのころ、日本はハンバーグやパンをドンドン食べるようになり、お菓子も伝統の和菓子ではなく、ケーキに変えた。ワンガリ・マーティさんの「もったいないを世界の合言葉に!」も同じ。
我々日本人は何をやってきたのか。
・昔は銭湯。銭湯は一人あたり200キロカロリー、内風呂は3500キロカロリー。江戸時代の大工の日当5日分ほどであり、貸本を借りていた。日本人はウサギ小屋に住んでいると外国人に言われたが、土、木、紙でできている。リサイクル可能なもの。エネルギーは、菜種油、ろうなど植物性が多かった。薬も生薬。現代の薬の75%は石油が原料として関わっている。
・フードマイレージ(輸送重量×距離)
日本は圧倒的に多い。食料の6割を輸入する日本は膨大は量を輸入するばかりか、膨大なフードマイレージもかかっている。レタスなどは冷凍して輸送しており、冷凍・解凍で膨大なエネルギーを使っている。輸入した食糧のうち、10%は可能段階で捨て、16%で流通で廃棄、家庭で捨てる量が15%は捨てられている。年間2000万トンの食糧を日本が捨てている。5000万人が飢えで死んでいるが、援助しているのが800万トン。北朝鮮への援助が40万トンだった。アメリカは8000万トンを捨てている。
(5)方向転換
開発の思想から自然再生へ。事例:釧路湿原
2002年の自然再生促進法
・森林を資材としてしか見てこなかったが、実際には洪水の防止や炭酸ガスの吸収など見えない価値も多い。森林の価値を見直すべき。
・経済という言葉の意味を考え直す。
OIKOS*NOMOS=ECONOPMY
生物の住処+管理の制度=経済学
OIKOS+LOGOS=ECOLOGY
講演会終了後、市役所に行き、1時間ほど某氏と意見交換をしつつ、若干の事務仕事。訃報が入ったので、弔電の手配なども行う。
20時過ぎ、市内某店で某氏、スタッフNと懇親会。生ビール3杯のあと、熱燗2合ほど。突き出しは、イカのマヨネーズ和えと肉じゃが。つまみとして、和牛ホルモン鍋、赤鶏のたたき、トロ鯖など。一番美味しかったのは、ママお手製の沢庵であった。ポンポンにならず天日で干した大根は歯ごたえもよく、塩加減もちょうど良かった。
この春の統一地方選挙で、志を同じくする候補者共通の公約的な政策をできないものかと模索してきたが、やはり医療と原子力に関するものが一番ではないかの結論に達した。
先日の静岡がんセンターの視察の際にお世話になった山口建総長からも資料を頂いたので、これからブラッシュアップして、出馬を予定している候補者に声掛けをしていこうと思う。
東京大教授から総務省高官になった
月尾嘉男さん
IT(情報技術)革命は、2世紀前の産業革命以来の大きな社会構造の変化をもたらす、といわれる。「だから産業革命で集中した都市は分散へ、巨大化が進んだ企業は苦境に陥っているでしょう?」。著作やテレビ、年間100回を超す講演でIT革命の必要性をわかりやすく説き「IT伝道師」の異名を持つ。
今度は総務省の事務次官級である「総務審議官」としてIT行政の指揮をとる。「霞が関と実社会とのズレを少しでも埋めたい。苦い役人に新しいカルチャーの考え方、仕事の仕方を伝えたい」さびついた政策能力の打破に、民間人登用が増えつつある「霞が関ムラ」でも次官級への就任は異例。旧郵政省時代から審議会委員として、放送デジタル化や
NTT再編などの草案づくりを手伝った。都市計画や環境分野でも歯にきぬ着せぬ論客で鳴らす。北川正恭・三重県知事や橋本大二郎・高知県知事らのアドバイザー役も務める。
建築家志望が出発点。東大で丹下健三氏の門下に入るが、「3カ月で徒弟制度の建築の世界は向いてない、とあきらめた」。その後、研究領域をコンピューター、通信へと広げる。結果的にはシステム制御やデータ解析の研究技術が、その後、丹下氏や兄弟子の磯崎新民らが事がけたイタリア新都市開発や大阪万博などの世界的事業を支えた。
IT後進国、日本の現状を嘆く。「普及率はインターネットで世界14位、高速大容量通信では韓国の3分の1。今こそ国をあげて迫い上げないと」
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