資料を仕上げて、3時に就寝。
7時に起床にしたものの、熱っぽいため、体温を計ったところ39度あり、2時間ほど仮眠する。
9時、大粒納豆、目玉焼き、筋子でご飯2杯の朝食をとる。
9時30分から13時まで、市内まわり。市政に関する苦情を3件ほどお聞きした。途中、コンビニで買った納豆巻き、レタスサンドイッチ、低脂肪乳で昼食をとる。
13時20分、柏崎エネルギーホールに移動し、某関東圏からお越し頂いたK氏と合流。
13時30分から「くらしをみつめる・・・柏桃の輪」主催、東北原子力懇談会の協力による公開講演会「マスメディアが伝える 誤解だらけの『危ない話』」に出席する。
講師は、毎日新聞社生活報道部の編集委員である小島正美氏で、講演の主な内容は以下の通り。
●なぜメディアに関心が?
1.食、医療、健康面などで安全レベルは戦後、高くなってきたのに、多くの人が不安感をもっているのはなぜか?
2.その主な要因はメディアの過剰報道ではないか
3.メディア報道にバイアスが生じるメカニズムは何か
4.メディア情報はどこまで本当か
●これは本当か
・子供たちは食べものでキレる。
(殺人事件は減少。虐待は増加。キレているのは親たちだ)
・高脂肪、高たんばく質が心の問題の原因
(データはない。欧米諸国はみなキレる?)
・遺伝子組み換え作物は危ない
・牛乳はダイオキシン汚染。子供の脳に蓄積。異常行動の原因となる
●不安情報の源は
・あなたが、抗うつ薬を売る会社の営業担当なら、どうするか。社会不安障害といった患者が増えたら、うれしい
・あなたが、サプリメントを売る営業担当なら、お客に向って、あなたは不健康かもと脅す。サプリをとると、健康になると過剰宣伝する
・患者が医者を必要とする?いや医者が患者を必要としている
●科学か政治か
「科学」無視の風潮
・原爆による放射線被ばくによって、骨粗素症になった、糖尿病になった、白内障になった。爆心地から離れてる人でも被爆者として裁判を起こす。本当か。
・C型肝炎裁判の影響で、B型肝炎の暴走。記者も嘆く
・平成22年度健康局予算約2954億円のうち、5割以上の1550億円が被爆者対策関係予算。裁判では国が24連敗中で、政治的な決着。
→ ニュースになったものが社会問題になる。社会問題をニュースにするのが本来。
●リスクの問いかけ
・バターとマーガリン、どっちが安全、どっちが健康によいか
・コメにはカドミウムが残留している。カドミウムは発がん性がある。だから、コメは食べないほうがよい?
・コラーゲンは高齢になると減る。だから、コラーゲンを補給しましょう。
・どうしたらコメに残留するカドミウムは減らせるか
●未来の食卓・記者たちは素人?
・記者たちの問いかけは正しいか
・本当に、農薬でがんになるのか
・食生活は、本当に農薬汚染まみれか
・食事をよりよくするヒントが映画にあるって本当か?
・死亡率の統計を知っておこう
●バイアスは記者の思考から
・有機食品は「善」-記者たちは無条件によいことだとして、記事を書く
・有機推進派のいうことに何の疑問を抱かない
・なぜか、入社してから、先輩もずっと有機は良いと書いてきた。有機の記事は喜ばれる。経験から。
→よいと思われる記事の持続的な記事の再生産
●がんの死亡率は増加?
・がんの死亡率は、高齢者が増えると高くなる高齢まで生きる老人が多い-幸せなこと
・がんの死亡率は人口構成を考えねばならない。高齢者の多い国と少ない国のがん死亡を比べても意味なし
・日本では男性は横ばい、女性は一貫して減少
・がん死亡は増えていない
●有機作物は健康?
1.英国の食品基準庁は7月、重要な報告書
◆「安全性同じ。栄養価、健康への効果、アレルギーの点でも、通常の作物と差はない」
2.健康長寿者は何を食べているか
「有機を食べている」はほぼゼロ。
3.フィンランド症候群
フィンランド症候群:15年間におよぶデータ。ほどほどの生き方が長生きにつながった。
4.ヒノキのフィトンチッド(森林成分)は発がん性物質でもある
●有機リンゴはすばらしい?
木村さんのリンゴ物語
≪すばらしい感動ストーリー≫
1.無農薬に挑戦し、 9年間無収入
2.キャバレーでも働く
3.やっとつかんだ無農薬、有機のリンゴ
・普遍的な栽培ビジネスモデルではない
・すばらしい芸術、アートではある
→ メディアはそのストーリーに感動する。安全、健康とは無関係。フジコ・ヘミングと同じ!
●フジコ・ヘミングなぜ感動?
【記者の着目するポイント】
1.数奇な運命。極貧の中で母の手ひとつで育つ。
2.バーンスタインに認められたチャンスに、耳が聞こえなくなり、高熱、演奏会中止
3.母の死後、帰国。 NHKが取り上げて、一躍脚光。一夜にして奇跡が起きた。
→喜びと絶望。記者は「物語」に酔いしれる
●虫くいリンゴは安全?
1.無農薬の虫くいリンゴと、従来のリンゴの比較-虫くいのほうが、アレルゲン物質は2倍以上も多い。
2.植物は自らの体を守るために防御物質を分泌する。これがアレルゲン。
◆順天堂大学 奥村康教授「花粉症患者が食べるとアレルギーの恐れ」「ヒノキ風呂のフィトンチッドは発がん性あり、殺菌性もあり=森で悪臭ない」
●有機農産物は本当に安全か?
1.アレルゲンは有機の方が多い。虫食いの大豆の方がアレルゲンが多い。農薬をかけて、おとなしく育ったリンゴを食べた方が、アレルゲンの反応が少なかった
2.キャベツに含まれる発がん物質は、病気に強い有機品種の方が多い。
3.天然の作物には天然の発がん物質(化学物質)がたっぷり。表を見てほしい。
4.ハネセンナに紫外線を吸収する物質。これがアレルゲンにもなる
●有機のモヤシは微生物汚染?
1.有機のモヤシでサルモネラ菌の中毒がしばしば起きる。米国ではトマト、ホウレンソウでも起きた。国も輸入トマトの検疫強化を指示。
→なぜか。家畜のフンの菌が残ることがあるからだ。
2.毒性の強い大腸菌のO-157に感染するリスクは、有機作物を食べる人の方が高いというデータがある(米国)。
→有機を食べて食中毒か微量の残留農薬か、の違いでしかない
●通常の野菜にも発がん物質
『通常の野菜・果物にも、天然の発がん性物質が含まれている。これも防御物質のひとつ』
・発がん性物質は、キャベツにも、ニンジンにも、リンゴにも、コーヒーにもあり、それが危ないわけではない。
・そもそも「植物は安全」というのが幻想
→身の回りを見てみよう-食べられる植物はごくわずか。品種改良したものだけを食べる
●食料自給率の不思議
・カロリーベースの自給率を算出して公表してるのは日本だけ。なぜか。
・欧米は金額の自給率を重視。いざというときに他国から買える外貨があるかどうかが重要
・卵は国産でも、えさが100%輸入なら、自給率はゼロ。これは正しいのか
・野菜はすでに70%以上の自給率、しかし、カロリーが低い。
例:日本の農地は470万haだが、飼料すべてを自給するためには1200万ha必要であり、さらに大量の水が必要となる。飼料生産国は水の使い方が的確。
●戦艦大和、特攻と日本人
・1945年2月、木更津の航空基地作戦会議100人の指揮官に「いざ突撃」命令
・美濃部少佐「かけ声だけでは勝てません。一命を賭して国に殉じるには、それなりの目的と意義は必要」と一人だけ反対。部隊は特攻からはずされた
・上原良司の妹=「指揮官たちは、私もすぐに後を追うと激励」。誰も飛び立たず。
●健康食品は安全か
1.友人が霊芝エキスをくれた。あなたは飲むか。私は飲まない。理由は「安全かどうか不明」、 「健康に効果があるデータはない」。
2.オランダ政府がまとめた「健康の損失ランキング」をみよう。危ないのは不健康な食事、運動不足、脂肪の取りすぎ、微粒子、インフルエンザ、アクリルアミドなど。食品中の残留農薬や添加物は無視してよい。
3.健康食晶には要注意
●工業的な有機って?
・化石燃料を使って、全国流通する有機食品って何?
・プラスチック包装され、冷凍され、いつでもどこでも食べられる、全国のスーパーで販売される有機食品って何?
・東京にビルをかまえ、全国から有機食品を集め、都会の会社員のような人たちが「有機でビジネス」はどこか変では?
●健康食品で健康になれる?
・健康食品は本当に人を健康にするか。
例:コラーゲン。食べて、皮膚にうるおい、本当か?
平成21年11月12日、業界のセミナー。学者は「まだ本当に効果があるというエビデンス(証明)はない」といった。それでも、それを伝える業界はなし。
→知らずに貢う消費者は損!
●地場のトマトは環境によい?
1.ハウス栽培のトマトは化石料で成立
2.栽培に使う肥料、農薬はどこで生産
3.水はどれだけ使う
4.ビニールハウスの原料はどこで生産
5.育種はどこで?
→地場のトマトも、実はグローバリゼーションの産物
→有機農産物の車で宅配?おかしいのでは?
●記者たちの価値観
1.大規模な効率的農業はよくない。農民は地べたをはって苦労するもの
2.巨大企業に農業が支配されるのは”悪”
3.工業的な畜産やGMは食を脅かす
4.世界均一のマックは食文化を破壊する
5.有機農業は善。
→「わかりやすさと思いこみ、資本主義、物質文明に否定的」「大量に記事が書ける」
●遺伝子組み合えの真実
1.世界中で増えているのはなぜか。
・農薬の節約、土壌の流失防止、増収、省力
・BTコーンは無農薬、雉やウサギ増加、飲み水の農薬汚染が減少、つまり「環境によい」
2.各種動物実験で安全性確認
3.巨大企業の戦略、世界を見ている、アフリカ、南米は特に有望
4.北海道など条例で禁止。しかし飼料は遺伝子組み合えという矛盾。
→「日本は戦略なし。科学が世論に負ける」
重大な問題は、花粉が広がることによる在来種との交配。
しかし十分な管理や外来種の事を勘案することで解決できる。
●「種の壁を越える」すばらしい?
・「従来の育種と同じ」は後ろ向きの説明。
・現実的には種の壁を越え、大腸菌にインスリンをつくってもらう。人や動物から取るものより安全、不純物なし。私なら、大腸菌に感謝する。
・蜘妹や蝶は遺伝子の設計図通りにしか動けない。選択の余地ゼロ。これって幸せ?
→種を超えて、遺伝子は同じように働く。遺伝子の制約を超える-自由を手に入れること
・問題があるとすれば、種を超えたことによる新たなたんぱく質の生成によるアレルギー問題のみ。
●GM(遺伝子組み合え)作物はブランド品
1.バイオ企業が農薬を節約できるブランド品のGM大豆を発売。それを買うかどうかは、農民が決める
2.買った農民は満足。企業と農民は信頼で結ばれる。
→これは単なる企業と顧客の経済行為。
一方、日本では農水省が開発・研究するが顧客はいない。住民は簡単に反対できる
●なぜ、バイオ企業は利益を得るか
1.もし、 GMのリスクがゼロなら、どうなるか。
・世界中の企業がGM作物に進出し、利益はきわめて小さくなる
→しかし、現実は「リスク」あり。このリスクを敢えて、引き受けて、 GM作物に挑んだ企業が利益を手にしたという事実を考えよう
2.リスクを引き受ける勇気のある企業が日本にはいない。だから、利益もゼロ。
●人形峠のレンガ危ない?
1.人形峠のレンガ。ウラン鉱床にたどりつくまでに掘り出した石や砂。その放射線量の大きさは花崗岩と同程度
2.庭にあっても、 1メートル以上離れれば影響なし
3.玉川温泉では3.15~6マイクロシーベルト。レンガは0.2マイクロシーベルト/時。X線検査は1回あたり50マイクロシーベルト。 1年間の被ばくも0.22ミリシーベルト、一般公衆の年間被曝量1ミリシーベルトを下回る。
●エコナは大丈夫?
1.グリシドールは発がん性があるが・・
・強さはアクリルアミドくらい
・ポテトチップスを食べるのと同じリスク
2.ドイツでは乳児の粉ミルクで問題
3.特定保健用食品として価値ありか?
→中性脂肪が減ったというデータがあっても、体重が減ったわけではない。健康になったデータもなし。本当は高い価格が問題で回収したのではないか。
●農薬の汚染とは何か
・米には、100%カドミウムが含まれる。平均濃度は0.06ppm。事故米の農薬濃度より高い。カドミウムは発癌性あり。
・基準違反とは何か。基準は単なる目安。管理目標値だ。健康危害とは無関係。基準違反は生産者への警告
●残留農薬の違反
1.基準値は作物ごとに異なる。500倍の差。ウナギのジコホルは0.01ppm、肉は1ppm。キャベツは3ppm。基準オーバーと健康被害は無関係。生産者への注意で十分。
2.健康被害の有無は一日摂取許容量(ADI)で決める。ADIを超えたら、流通と農薬使用禁止。欧米はこれ。
3.基準違反が増えたのは検査数が増えたためであり、実は中国の違反率は高くない。イタリアなどの製品が違反率では高い。
●言葉の力
1.事故米、汚染米、不正米、カビ毒米
2.「汚染」を何度も読んだ人は、危険な米だと判断
3.行政の怠慢が招いた-怠慢米
・記者たちは勝手なイメージで言葉を選ぶ
・汚染米は適切な表現ではない
→見出しに「健康被害」がなければ心配なし
●不安言葉にどう対応するか?
重要なのは「ひゆ」「具体例」「引用」
1.失業率=3%というか、 300万人というか
2.毒性の強さ=薬の錠剤を100万分の1に分割して、服用してください
3.ハッブル望遠鏡=東京からワシントンを見てホタルが2メートル離れた光景が見える
4.マルクスによれば、カントによれば=権威を借りる
●私の趣味「不安」コレクション
1.「未知の危険性」=どんな場合でも使える万能言葉、GM、電磁波など
2.「複合作用怖い」=添加物など。伝家の宝刀。
3.「あいつは産業寄り」=学者の攻撃に便利。
4.「できるだけ危険は少なくすべきだ」=これも万能言葉
5.「いま被害がないからといって、将来も、ないとは限らない」
●恐怖の言葉と見出し
1.恐ろしい言葉の見出しは感情(右脳)を刺激
・この言葉が社会的な現実をつくりだす、見出しを見た人は「この世の中は化学物質で怖い」というイメージをもつ
・記者たちは深く考えることなく、恐怖の言葉を使う
●原子力発電事故
1.もれた放射能は、レントゲン検査1回分の40万分の1
→ならば、誰も心配しない
2.海に流れた放射能を帯びた水は、ラドン温泉水9リットル分
→ならば、だれも騒がない。
・しかし、報道は、的確なリスクを報じなかった。なぜか?問題がなくなれば、ニュース価値が減るからだ。
●地産地消は正しい?
記者たちの頭には、最初から記事になるものが決まっている
・地産地消はすばらしい
・天然酵母のパンはすばらしい
・脱サラリーマンして、自給自足すばらしい
・植物油は健康によい
→重油を使う温室栽培のトマトは本当にすばらしいの?たとえ地場のものでも?
1.ニューヨークの人がワインを買う
・フランス産か、カリフォルニア産か
・栽培時、加工、輸送時のCO2を計算
・フランス産のほうがエコ
2.ロンドンの人がバラを買う
・ケニア産かオランダ産か
・ケニアは肥料使わず、トラクターもあまり使わず、小規模栽培。CO2ではケニア産がエコ。
3.英国人は英国産かニュージーランド産か
・ニュージーランドはあまり肥料使わず
・水力(再生、自然エネルギー)発電
・船の輸送は、重油(精製度低い)を使う
・結局、英国の人はニュージーランド産を買ったほうがエネルギー的にはエコ
●すばらしき工業的有機食品
・宅配する有機食品が人気?
・宅配=トラックの輸送、プラスチックでの包装、冷蔵での輸送、季節外のものも販売。これは巨大なエネルギーの無駄。
<都会人のお遊び>
・記者たちは、農業は癒しの対象
・高額な退職金もらって田舎暮らし、すばらしいことか?
●トランス脂肪酸
トランス脂肪酸の何が悪いのか
・心臓疾患の原因
・心臓疾患を引き起こす原因は、他にもあり原因となる。高血圧、塩分、アルコール、脂肪の取り過ぎ、たばこ、コレステの取り過ぎ。
・何が最大の原因か=ストレス
→そもそも日本人の心臓疾患死は増えていない
●リスクって何?
1.牛肉を食べて、BSEにあたる確率は10億人に1人
・でも、私は10億分の1にあたりたくない?
・政府は税金を費やすべきか?
・全頭検査はつづけるべきか
2.フグと牛肉、どっちが怖い
3.ポテトチップスは危ないか
4.生卵でサルモネラ菌
5.飛行機で米国へ行くと、レントゲン検査4回分の被ばく
6.車は1日で100人を殺す。なぜ?
・排気ガスから一酸化炭素、ベンツピレン、トルエン、キシレン、ベンゼンなど危険物質が続々と発生、禁止にすべきか?
7.牛乳や海藻からもカリウム40の放射性物質が含まれる
●リスク対リスクの例
1.水道水の塩素処理、やる、やらない
・やる:発がん物質の増加、感染症の減少
・やらない:発がん物質の減少、感染症の増加
2.水道水の浄水器の設置はどうか
「吸い込むトリハロメタンのほうが多い」
・浄水器で発がん物質の低下
・シャワーでの設置はどうする。30万円を使うかどうか。これが費用対効果の問題。
3.ホルモン補充療法
・更年期障害の改善するが、乳がんリスクの上昇
4.9.11同時多発事件
・飛行機事故による死亡減少と車による事故の増加
5.防カビ剤禁止
・カビ毒の食中毒上昇と防カビ剤に曝露するリスク減少
6.PSA検査
・前立腺がんの死亡減少、QOLの障害の増加(おむつで長生き)
7.「マグロ、サバ、イワシなどに水銀、ダイオキシン、PCB、食べていいの?」
・米国は週に魚介類340グラムまでの勧告、英国でそのとおり守った女性の子供と、魚介類を340グラム以上食べた女性の子供、どちらが言語知能は高かったか? (英国の調査)
→勧告に従った子供の発達のほうが遅かった。魚をよく食べるメリットのほうが大きい。
●重要=リスクは経済問題だ
3つの重要概念=「費用対効果」と「トレードオフ」「リスク&ベネフィット」
1.健康に影響するリスクは少ないほどよい。しかし、リスクを減らすお金は無限ではない
2.リスクの対処には優先順位がある
3.どのリスクを減らすことにお金を優先的に使っていくか。これが「費用対効果」。
4.あるリスクを減らそうとすると、別のリスクが発生する
●BSEの全頭検査はどうか?
1.全頭検査をしても、リスクは減らない
2.危険部位の除去など対策が全くなくても、人が感染するリスクは10億分の1~100億分の1
3.対策をとれば、だいたい1000億分の1になる
・それでも、 200億円以上の税金を使った。優先順位は正しいか。費用対効果はどうか。
●添加物でがん、キレる?
<ある講演から>
1.「害」という字を知っていますか
健康に悪いものです→何が悪いですか?→パンやおにぎり、菓子などに添加物の表示いっぱい
2.「こんな危ないものを毎日食べているから、がんが増え、キレる子供が増えて、犯罪が増えています
3.添加物のない食品を選びましょう
●問い、これは禁止すべきか
1.ずっと昔から長く使っている
2.長く使うと必ず健康被害が出る
3.健康被害の証拠はたくさんある
4.友達と一緒に使うと、友達も被害を受ける
<問題例>
車の排気ガスに一酸化炭素2%。自殺する人が絶たず。車が1日中走ると100人が死ぬCOが発生。なぜ、町の人は死なないか?
→ これは原子力発電所の近くに住むリスクと同じ
●記者にないリスクは「量」いかん
1.リスクは、毒性の強さ×摂取量(頻度)
2.毒性が強くても、摂取量が少なければ、リスクは低い。しかし、メディアは有害な化学物質があれば、危ないと報じる。
3.毒性は制御不能でも、摂取量は管理できる。使用禁止で毒性をゼロにできるが、摂取量でもリスクは下げられる
4.これは食品添加物にもあてはまる
→記者のリスク感「危ないことは報道だけ」
●健康に影響する要因は?
1.がん
たばこ、不健康な食事、運動不足、環境汚染
2.心臓病、脳卒中、うつ、糖尿病、肥満
たばこ、不健康な食事、運動不足、ストレス、働き方(深夜労働、交替勤務など)も大きい
3.感染症
予防接種など知識不足や不注意
●人は何が原因で死ぬか
1.米国では、ここ10年間、がんの死亡率が減少している。禁煙が最大の要因。医療技術の進歩。経済の発展が健康をもたらした
2.がんの原因は何か。
→3分の1は喫煙、3分の1は不健康な食事、残る3分の1は運動不足、肥満、ウイルス(肝炎など)、遺伝的な体質、職業的な環境汚染など。残留農薬や添加物、放射線は無視してよい
●身の回りで高いリスクは何か
1.たとえば、ペットからの感染
・あなたの家に子猫はいますか?
・トキソプラズマという原虫がおり、名子が最終宿主。予防するためのワクチンはない。
・妊婦から水頭症の子供、 10人を多いと見るか少ないと見るか。
→対策は簡単(費用ゼロ)、猫を飼わないだけ
2.ペットからの感染病は予想以上に多い
3.子供の死亡でトップは事故、若者は自殺
●リスクで注意すべきは何?
・家庭内の不和
もっとも、気を配るべきなのに、アンケートでは最も低い意識
・子供の発達を考えるなら、まず夫婦の仲
・子供が死ぬのは事故と感染症
・若い人は自殺トップ
・温暖化やがん、残留農薬は気にしない
●家庭内不和が大きなリスク
<夫婦仲良くする3原則>
1.反論しない。反論=鉄砲が返ってくる。
2.新しい服を買ったら、とにかくほめる。似合わないと思っていても、赤色が似合うとほめる。どんな服にも色はついている。
3.応報の原則=人はやさしくされるとうれしい。相手にはやさしくしたくなる。まずはやさしい言葉をかける。
●微粒子は意外に危ない?
国際がん研究機関のがん原因のランキングをみよう。
・発がん性が最も高いグループ1
木工粉じん、木工家具環境、煤(すす)
・微粒子=アスベスト、コンクリート、石膏ボード、ゴムタイヤ粉じん、採石場、穀物倉庫、砂漠を歩く遊牧民、ディーゼルの排気ガス、花粉、黄砂など砂塵
→ 上記、微粒子を毎日吸えば、かなりリスクは高い
●地球温暖化はCO2のせい?
ある大学教授との会話-CO2以外何が?
1.二酸化炭素説は仮説
2.縄文時代や1000年前はどうだったか
3.1970年代は「冷える」が流行
4.シロクマなどわかりやすさの罠
5.英国ではゴアの映画が裁判に
6.CO2は温暖化の結果かも?
7.太陽活動、雲、水蒸気、宇宙線、海洋、軌道などいろいろな要因がからむ
●姉歯事件はバイアスなかった?
1.組織的な詐欺はあったのか。別件逮捕で調べたが、組織性はなかった
2.「姉歯建築士の単独犯」 (朝日新聞社説)
3.「小嶋社長は耐震偽装の被害者である」 (判決)
→いったい、あの報道は何だった?
要因「検察・警察主導、特ダネ、正義感、悪を叩くことへの世論の支持」
●薬害エイズ事件、なぜ無罪に?
1.世界中で使用されていたのに、事件になって逮捕されたのは安部氏一人だけ
2.日本のメディアが問題にした84年11月のあとも米国は「非加熱製剤を禁止する根拠はない」と使い続けた
3.米国のギャロ博士は安部氏を擁護。検察は尋問調書を隠した。シヌシ博士の調書も隠した。「私でさえ予見できなかった。まして安部氏は無理」
●少しでも危険性があれば禁止?
1.1000人に33人の比率で感染するリスクあり。一方で99%の率で助かる。どうするか
2.検察は危険の可能性があれば、使用をひかえるべきだと主張。もし禁止になれば、それで命を失う人はどうなるか。タミフルと同じ問題
3.非加熱製剤はクリオ製剤より有効性ははるかに高かった。裁判は検察のこうした主張を退けた
4.安部氏は感染(肝炎も)のリスクと生命の重みを比較した。実際は多くの患者を助けた。
●では犯罪は増加?体感不安は?
1.犯罪は増えていないのに、なぜ凶悪化とセンセーショナルになるのか
2.メディアはいつも個別ケースに注目、社会問題をからませる傾向
3.凶悪事件はコミュニティー意識の高かった昔のほうが多かった。当時の記事は凶悪多い
4.時代背景-1998年の栃木の事件は環境ホルモンで「キレる」、2000年は「17歳の犯罪」、最近は「格差」
●NHKスペシャル(04)はどう報道したか
1.内藤朝雄・明治大学准教授の体験
「未成年者による殺人は減っている。凶悪化している事実もないことは統計的な調査で分かっている」と懇切丁寧に説明。
2.実際の番組を見て仰天。
佐世保の小学生殺人事件を例に「いまの子供たちは凶悪化している」のコメント。熱血先生がいれば、こういう子どもは減る内容。
3.台湾統治の番組、 GM作物の番組しかり
●犯罪と格差は本当に関係?
1.「格差」が問題になる。大変だ。貧困にあえぐ若者を探して、記事をつくる。
2.「17歳」の少年が殺人を犯す。大変だ。同年齢の少年を見つけて、いまの世の中が息苦しいと訴えるのを記事にする
3.ある若者が2人を殺した。弁護側は「格差や貧困が問題」と訴えたが、死刑囚は「私と同じ境遇の同年代はたくさんいるが、オレ以外はみな罪を犯していない。これは個人の問題だ」と死刑を選んだ
●バイアスが生じる要因
・検察・警察主導
・市民の期待に応える(市民の気に入る情報がよく売れる。メディア情報は「商品」なので、市民が買ってくれないと会社は持続しない)
・記事を書く時のリスク思考が過去のまま。リスクはどんどん下がっているのに、記者の思考は変わっていない(記者の思考は先輩から後輩に受け継がれる。リスク思考は遺伝する)
●いまは科学が政治の”奴隷”に
1.BSE(牛海綿状脳症)の全頭検査続く。世界でも日本だけ
2.政府もメディアも全頭を検査しても、感染牛が出荷されていることを説明しなかった。
3.メディアは間違って伝えた
4.国産牛の安全性は担保されていなかった。ピッシングと危険部位の除去の遅れ、不徹底
*ピッシング
牛の前頭骨に穴を開け、ピッシングロッドというワイヤーを挿入し、脳・脊髄を破壊する解体前の食肉処理工程。これをしないと、と殺後に牛が痙攣することがある。ロッドは脳から脊髄を貫通、尾骨近くまで達するため、感染牛の場合、本来、感染しない肉の部分を汚染してしまう。EUでは2000年に禁止。
5.自治体の担当者は事実を熟知、知事が?
「科学的な説明よりも、世間の感情を重視」
●原子力とCO2発生
1キロワットの発電で生じるCO2、原材料の採掘、輸送、製精、発電所の建設、保守などを含めると
1.石炭火力=975グラム
2.石油火力=742グラム
3.太陽光 = 53グラム
4.原子力 = 22グラム
5.水力 = 11グラム
●原子力とエネルギー効率
【効率的な発電とは】
・100万キロワットの発電所に必要なエネルギー量
1.石 炭=221万トン(輸送費大きい)
2.石 油=146万トン(輸送費大きい)
3.天然ガス=93万トン(輸送費大きい)
4.濃縮ウラン=21トン
●では、どうすべきか
≪自分の健康を守るために何をすべきか≫
情報の信頼性は何によって保証されるかを考える
基本は、
1.人を対象にした大規模な比較試験かどうか
2.複数の科学論文で証明されているかどうかに尽きる
理屈でなく、データ(エビデンス)を知る
●リスク眼力とは
1.体験話は信用しない
2.メディアに出たからといって信頼性の高い情報とは限らない
3.論理(理屈)ではなく、データで判断する
(例)高齢になると体内のコラーゲン減る。では取ればよい?これは理屈だけ。
4.その話は人の試験か、科学論文になったか
5.食品安全委員会など国はどう言っているか
●サプリメント大丈夫?
1.ベータカロテン、ビタミンE、ビタミンAの継続摂取は、総死亡率の増加をもたらす(医学博士・津金昌一郎氏)
2.これらのサプリは脂溶性、体内に蓄積して高濃度になる。解毒にかかわる酵素の働きを阻害したりする
3.ビタミンE=19の臨床試験。死亡率上がる
→人でも長期大規模試験の結果を重視
●どういうリスク感をもてばよいか
1.食品の残留農薬、添加物、放射線、遺伝子組み換え作物、 BSEは無視してよい
2.子供はどういう原因で死ぬか、何が心の荒廃をもたらしているか。未来へのポジティブな思考
3.大切なのは家族間の対話、仕事の仕方、ライフスタイル(食事の組み合わせ、規則性、睡眠、ストレスなど)
4.しっかりしたメディアリテラシーを身につける
●奈良県の医療事故
横浜の医師が「いまやお産を気楽な娯楽のように考えている妊婦が多すぎる。脳出血が起きても、助かって当然と思っている夫に妻を妊娠させる資格はない」とネットに書いた。
→奈良県警は「遺族の心を踏みにじる投稿であり、遺族を侮辱する書き込み」と侮辱罪で捜査。略式起訴9000円となった。
●あなたの生活が乱れる実験
こんな実験がある
Aさん「まわりの人がみな、あなたの悪口を言っているよ」とささやく
Bさん「まわりの人がみな、あなたを高く評価していますよ」
さて、どちらが食生活が乱れ、チョコやケーキを食べたか?
結論:A「人は、自分の居場所がないと、自分に誇りがもてないと、生活は乱れる」
●不健康な社会心理とストレス?
経済格差自体は不健康をもたらさない
1.失業、所得が低い
・自分の存在に意義が見出せない
・まわりが冷たいと感じる、孤立感
・劣等感を感じる
・ストレスとなって免疫力が低下する
・自分に自信がもてず、仕事がつまらない
2.生活習慣が乱れる(酒、喫煙、不規則)
●妙な情報にとびつくな!
・ベストセラーになった本でも、がらくた本はある。その典型が「病気にならない生き方」
・読んで、実践すると、早死間違いなし
・健康食品を売りつける専門家は信用しない
●科学的根拠よりバラエティ
1.犬と話す女性 テレビ番組
2.透視能力の番組
・透視による事件解決番組
・結末を知っていて、ストーリーをつくり、視聴者をだます
・最後に「科学的な根拠に基づく番組ではありません」のテロップ。それなら「作るな!」
講演終了後、K氏を柏崎市内の視察(拉致現場、こどもの時代館、日印友好の碑)にご案内する。
18時30分、K氏を囲んで、「船栄 柏崎店」 (電話:0257-22-0288)に移動にて懇親会。生ビール5杯、ジントニック1杯を飲みつつ、ベーコン焼きなどつまむ。K氏には、関東圏からお越しになったということで、のどぐろの塩焼き、めだいの煮付け、納豆入りの栃尾揚げで「越の誉」や「銀の翼」を飲んで頂く。
せっかくデカ盛りラーメンの多い柏崎にお越し頂いたということで、飲んでいない某氏に運転をお願いし、20時40分、「麺の家 渚」に移動。「つけめん 650円」を大盛りにしてもらい、シメにする。この量の麺をシメにしたのは初めてである。
鉄道ファンであるK氏をサハリンから帰還した駅前芝生公園になるSL「D51-1」をご案内したのち、ホテルにお送りした。
22時過ぎに帰宅。熱めのシャワーを浴びたのち、事務所に行き、溜まった資料をpdfファイルに変換する作業を行う。
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