シャワーを浴びた後、3時に就寝。
7時に起床し、大粒納豆、茹でて叩いたオクラ、生卵、生姜の味噌漬けでご飯2杯の朝食をとる。
10時、市役所に移動し、農業委員会で準備したマイクロバスに乗る。
11時20分、新潟市の朱鷺メッセに到着。近くのときめきラーメン万代島の「青島ラーメン司菜」(電話:025-243-9803)「青島チャーシュー麺(麺約175g) 800円」に「薬味刻みねぎ 50円」を追加して昼食をとる。
久々の長岡生姜醤油系ラーメンだったので、大盛りにすれば良かったと思うほど、一気に食べてしまった。
12時50分から朱鷺メッセ2階スノーホールでの平成23年度新潟県農業委員大会に出席。
新潟県選出国会議員として、自民党は長島忠美衆議院議員が出席したが、民主党は「急遽、用件ができた」として誰も参加なし。野次の一つでも飛ばそうと思ったのに残念である。
開会の挨拶ののち、農業委員憲章を斉唱する。はじめての経験で、中身も理解していないので、つい小声になってしまった。
主催である新潟県農業会議会長の挨拶、来賓祝辞と紹介、そして中央の情勢報告として、全国農業会議所農政・企画部長の報告。
続いて、今日の主たる目的である京都大学大学院の中野剛志准教授による講演「TPP亡国論」となった。
要旨は以下の通り。
・2000年代の世界経済や東アジアの成長は・米国の住宅バブルによる過剰消費と欧州の好況に依存(グローバル・インバランス問題)。
米国の過剰消費に依存したグローバルな経済成長は、2008年の世界金融危機によって、持続不可能と判明(米国は貿易赤字を減らさねばならない)
・米国の貿易戦略(輸出拡大・ドル安戦略)
(1)オバマ大統領は、2010年の一般教書演説において、今後5年間で輸出を倍増すると表明。グローバル・インバランス問題の原因である米国の過剰消費・貿易赤字の是正に乗り出す意思を表明。
*ただし、これを実現するためには、1ドル=70円程度の円高・ドル安が必要になるとの見方もあり(RBS証券レポート)、円高基調は続くものと見込まれる。
(2)6月5日、ガイトナー財務長官は、各国に書簡を送り、「米国の貯蓄率向上に向けた必要な変化は、日本と欧州の黒字国による内需拡大や民需の持続的な伸び、さらには一層柔軟な為替政策によって補われる必要がある」と主張。
(3)10月1日、米国家経済会議(NEC)のサマーズ委員長(当時)は、ウクライナで開かれた経済開発会合において、「世界経済は再調整を必要としている。米国の消費者は世界経済成長の唯一のエンジンにはなれない」と発言。【オバマ大統領の演説(11月13日横浜市)】
TPPを推進するオバマ大統領は、米国が今後5年で輸出を倍増させる「国家輸出戦略」を進めていることを説明した上で、以下の通り発言。
「それが、今週アジアを訪れた理由の大きな部分だ。この地域で、輸出を増やすことに米国は大きな機会を見いだしている」
「国外に10億ドル(約825億円)輸出するたびに、国内に5000人の職が維持される」
*米国の失業率は11月に9.8%にまで悪化。オバマ政権の支持率低下。
「巨額の貿易黒字がある国は輸出への不健全な依存をやめ、内需拡大策を取るべきだ。いかなる国も、アメリカに輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」
・米国はTPPで輸出拡大による雇用拡大を目指している。
・TPPに参加しても、日本の輸出先は米国しかない。
米国の狙いは、日本市場しかない。
シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアの交渉参加国に日本を加えたGDPシェアは、日米で90%以上。しかも、日米以外は、輸出依存度の高い小国ばかり。
(1)日本の輸出先となりうるアジア市場などTPPにはない。あり得るのは米国市場のみ。しかし米国は、米国への輸出に依存した成長を拒否。
(2)米国の輸出先は、日本しかない。
(3)韓国はFTAを選択、中国は人民元問題を抱えている以上、中韓はTPPに入らない。中韓が入らない協定が、アジア太平洋地域の貿易の基本ルールになるわけがない。
・米国の貿易赤字削減の手段は、関税ではなく、為替
(1)米国は、ドル安を誘導することによって、日本企業の競争力を減殺したり、米国での現地生産比率を高めたりする能力を有している。
(2)為替リスク回避等の理由により、既に日本の製造業の海外生産(グローバル化)は進んでおり、米国の関税撤廃による利益は少ない。
米国の主要品目の関税はかなり低い。
*乗用車2.5%、テレビ5%、電気アンプ4.9%、ポリエステル6.5%、ベアリング9%、トラック25%
日本の自動車メーカーの米国における新車販売台数の六割以上が現地生産。ホンダに至っては八割以上。この傾向は、今後進む。
(3)関税撤廃、ドル安、さらに不況で実質賃金が低下した米国の大規模農業の安価な農産品に、日本農業はどうやって対抗できるというのか。
*近年の韓国企業の競争力強化も通貨が主因(4年間でウォンの価値が円の半分に暴落)
【ポイント】
米国は、ドル安戦略とTPPの組み合わせによって、自国の市場や雇用を日本企業に奪われることなく、日本の農業市場を獲得することができる。
だから、日本のTPPへの参加は、米国の輸出を増やしうる(しかし、日本の輸出は増えない。)
・オバマ大統領の2011年一般教書演説
企業がもっと海外に製品を売るのを助けるため、我々は2014年までに輸出を二倍にする目標を設定している。なぜなら、我々がより多く輸出すれば、この国でもっと雇用を生み出せるからだ。すでに我々の輸出は増えている。
最近、我々は、インドと中国との合意※に署名したが、それは合衆国の25万人以上の雇用を支えることだろう。そして先月、我々は韓国との貿易協定に合意したが、それは少なくとも7万人のアメリカ人の雇用を支えるだろう・・・
*中国が米国の航空機200機等(3.7兆円相当)購入
私は就任前、貿易協定を強化すること、そして、アメリカの労働者を裏切らず、アメリカの雇用を促進するような協定にのみ署名することを明言した。それこそが韓国との協定であり、パナマやコロンビアとの協定交渉やアジア太平洋そしてグローバルな貿易交渉の継続の中で私がやろうとしていることである。
・TPPのルールの交渉は、日本に有利には絶対に進まない
(1)多国間交渉におけるルール策定は、利害の一致する国々と連携し、多数派工作を行わなければ、自国に有利にならないというのは、外交戦略の初歩。
(2)しかし、TPP交渉参加国に、日本と利害の一致しそうな国はない。日本は、内需が大きい大国、工業製品輸出国、農業競争力は脆弱、高賃金労働国かつデフレ。他方、TPP交渉参加国は、日本とは莫逆の経済構造の国ばかり
外需依存の小国:米国以外すべて。そして米国も今や輸出志向。
農産品輸出国:シンガポール以外すべて
低賃金労働国:シンガポール、米国、豪州等の移民国家以外すべて
日本は、利害と一致しない国々に包囲されてしまう。だから、工業製品輸出国の韓国は、多国間のTPPではなく、二国間のFTAを選択し、対等な交渉条件を確保しようとしている。
(3)しかも、中露との領土問題、北朝鮮問題等で、安全保障において米国に依存せざるを得ない状況。
これでどうやって米国と渡り合って、自国に有利なルールを作れるのか。
・菅直人首相の演説(2010年11月13日横浜市)
「我々が集う横浜は、当時開かれた港の一つで、今日では日本でも屈指の国際港に成長しました。その横浜の地で、皆さんを前に申し上げたいことがあります。日本は、今また、国を開きます。」
「今日、世界の多くの国々が「国を開き」、次々と経済連携協定を結び、自由な貿易圏を形成しています。率直に言って、わが国はこの世界の潮流から取り残されつつあります。」
「日本の繁栄は、世界、特に発展著しいアジア太平洋地域と共に成長の道を歩む、ということを抜きに考えられません。」
「環太平洋パートナーシップ(TPP)については、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始します。」
「自由貿易を進めるとともに、農業改革を推進します。」
・しかも、問題は、農業だけではない。
(1)TPPの作業部会の主な議題
工業製品・農産物の関税撤廃、金融、電子取引、電気通信などのサービス、公共事業や物品などの政府調達方法、技術の特許、商標などの知的財産権投資のルール、衛生・検疫、労働規制や環境規制の調和、貿易の技術的障害の解決、貿易紛争の解決
(2)関税率が低いのに「開国」を宣言すれば、主なターゲットは、以下の三つになるだろう。
A)非関税障壁(社会的規制、特に食の安全、慣行、規格、文化)
B)外資の導入促進
C)労働移動の自由化
*「優れた人材や知恵、技術、製品、そして投資を、世界から積極的に受け入れていきます」(APEC総理挨拶)
「将来は外国からの移民を受け入れるべきだ」(2011年1月22日米倉弘昌経団連会長発言)
(3)日本医師会のTPPに対する見解(2010年12月1日)
「日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない面もある」
(4)ノーベル経済学賞受賞者ステイグリッツら257人の有識者が連名で、米国の進める貿易・投資協定における資本移動の自由化を懸念する意見書をクリントン国務長官やガイトナー財務長官に発出(2011年1月31日)
・アメリカの主たる狙いは、農業・食品安全と金融(保険)
(1)2011年 米国貿易政策アジェンダ
合衆国は、米国産牛肉の参入制限、銀行、保険、郵便における日本郵政と民間企業の平等な競争条件の欠如、米国産自動車の参入制限など、長期にわたる二国間の懸案の完全な解決をいっそう促す。
(2)2010年衛生・植物検疫措置に関する報告書(日本部分)
食品安全
牛肉及び牛肉製品
・日米国政府は、日本がその市場を完全に再開しようとしないことを非常に懸念しており‥・
食品添加物、ポストハーベスト防かび剤、農薬の最大残留基準値
動物衛生(家禽肉)、植物検疫(さくらんぼ)
(3)2010年貿易の技術的障害に関する報告書(日本部分)
有機農産物の要件(残留農薬)
(4)日米経済調和対話(2010年11月日米首脳会談で合意、2011年2月会合)
郵政、簡保、共済、残留農薬、有機農産物、食品添加物、ゼラチン…
・いったん交渉に参加したら、どんな不利なルールでも飲まざるを得なくなる。
(1)交渉参加を見送るよりも、いったん交渉に参加して、アメリカの期待を高めて
おいてから離脱する方が、アメリカとの関係を悪化させるリスクは造かに高い。
TPPの合意をAPECホノルル(オハマ大統領の故郷)会合の成果としようとしているので、中途の交渉離脱は、アメリカの面目をつぶしかねない。
ゆえに、どんな不利なルールでも日本側は飲まざるを得なくなる。
(2)前原前外相など、日本政府側から、TPPを日米同盟強化の一環と位置づける発言が相次いでいる。
それは、TPP交渉参加後の離脱は、日米同盟を損なうものであるから認めないと日本政府が宣言しているに等しい(政府に交渉離脱の意志がない証拠)。
(3)不利なルールを飲まざるをえない状況になれば、国内で反米感情が噴出し、日米関係はかえって悪化する。
→いったん交渉に参加したら、有利なルール作りも交渉からの離脱も不可能。離脱してもしなくても、日米関係悪化の火種になる。
・自由貿易は、常に正しいわけではない。特にデフレ時には、貿易自由化は採るべきではない
(1)経済学における自由貿易理論(比較優位等)は、輸送コストゼロ、完全雇用などの条件下においてのみ成立するとされている非現実的な理論。しかも、米国は農業に巨額の補助金を出し、為替は実体経済から奉離しているのだから、自由貿易の理論通りにはいかない。
(2)実証研究においては、経済成長が貿易の拡大をもたらすことは認められているが、貿易の拡大が経済成長をもたらすか否かは、論争中。
例)19世紀後半の欧州諸国では、最も保護主義的だった国々の間で最も貿易が盛んになった。20世紀後半、貿易自由化が進むほど、世界経済の成長は鈍化。1929年以降の大恐慌が保護主義によって悪化したという説は、複数の有力な研究によって否定されている。
(3)自由貿易のメリットは、安価な輸入品による消費者利益の改善。
しかし、物価の下落が続くデフレ下では、貿易自由化は失業を増やし、デフレを悪化させる。
(4)デフレ不況の国(米国にその兆候)からの輸入は、デフレの輸入になる(いわゆ
る近隣窮乏化策)。
・輸出主導の成長は、もはや不可能。
(1)2000年代以降、中国など新興国との競争の激化により、輸出企業の実質賃金が伸び悩み、労働分配率が低下し、一人あたり給与は伸びず。日本は17.4%。
しかも、02~06年の輸出主導の成長は、米国の住宅バブル・過剰消費や円安の産物。
(2)そもそも、日本は内需が八割以上と高く、二割以下の輸出の主導で全体を牽引するのは困難。しかも、変動相場制の下では、競争力の強化は円高をもたらし、競争力を相殺。
(3)しかも2008年以降、世界的な不況でパイが縮小、各国とも保護主義的になっており、輸出拡大は困難。特に、米国は円高・ドル安を志向。中国等アジアは、欧米への輸出依存で成長していたに過ぎず、内需は小さい。
・2002年以降、輸出拡大にもかかわらず、一人あたり給与は伸びなかった。
「輸出企業の利益=国民の利益」の常識が通用しなくなったのが、2000年代のグローバル化の現実(欧米も同じ傾向)。
質疑応答となったので、質問しようかと思ったが約1000人の参加者があり、2名の方が以下のような質問を行って、締めくくりとなった。
Q.TPP推進者の利権というのはあるのか。
A.利権とかそういったことではなく、無意識的にやっている方が大きいのではないか。危険であることに気付いていない。
Q.TPPへの参加の有無と中国との貿易をどうみるか。
A.2008年で世界は変わった。どこの国も貿易は伸びていない。中国は一人っ子政策で日本より少子高齢化する。中国に期待することは間違い。
あれだけの震災を受けた日本の円が高いままであることが証明で、他の国は伸びていない。
講演終了後、にいがた地域農業再生運動の取り組み報告があり、総会の議事。
総会の議事は、以下の3議案で無事に可決、採択された。
第1号議案 TPP交渉への参加反対を求める要請決議(案)
東日本大震災から半年。復旧・復興の取り組みは被災者と関係者の懸命の努力にもかかわらずまだまだ課題が山積しており、東日本そして我が国農業・農村は極めて厳しい状況におかれている。
このような情勢にもかかわらず、経済界、マスコミ等は、依然としてTPP交渉への早期参加を主張しており、東日本大震災の被災者と我が国農林漁業者の心情と著しく乖離している。
我々農業関係者は、一日も早く、復旧・復興の成果を被災者のみならず国民が挙げて実感できるような取り組みが強化されることを切望しているところであり、日本農業の崩壊を招くTPP交渉参加に断固反対するものである。
記
1.情報開示と国民的議論がなされていないこと
TPP交渉は農業だけの問題ではなく、21分野にわたる広範かつ総合的な協定である。食品安全、金融サービス、投資、医療、労働、政府調達等多くの分野で悪影響を及ぼすことが懸念されている。しかしながら政府による情報発信は不十分であり、国民はとても参加の判断を出来る状況ではない。よって政府は、21分野について、正確な情報開示と分析ならびに国民的議論の場を設定すること。
2.東日本大震災の復旧・復興に逆行するものであること
東日本ならびに全国の農林漁業者は現在、東日本大震災からの復旧・復興に全力で取り組んでいるところであり、TPP交渉へ参加することは、復興に懸命の努力を傾注している被災者の努力と意欲に対し逆行するものであり、認められるものではない。TPP交渉と復旧・復興は全く両立しないことを政府は強く認識すること。
3.日本農業再生と両立しないこと
昨年10月の農林水産省の試算を待つまでもなく、関税撤廃を前提とするTPP交渉への参加はわが国の農業生産の縮小に直結することとなる。食料・農業・農村基本計画に基づき、意欲のあるすべての農業者が農業を発展できる環境を整備し、食料自給率50%を目指すこと。
以上、決議する。
平成23年11月1日 平成23年度新潟県農業委員大会
第2号議案 震災復興と食と農林漁業の再生に向けた政策提案決議(案)
3月11日に発生した東日本大震災は、国難ともいえる未曾有の被害をもたらし、また、原発事故による放射能の影響により、農畜産物の出荷停止やこれに伴う風評被害など、極めて深刻な事態に直面している。
また、震災の傷も癒えない中、7月に発生した豪雨は過去に無い記録的な雨量を計測し、人的被害をはじめ河川の崩壊や多くの住宅被害等、新潟県内に大きな傷跡を残したところである。
このような災害と原発事故による傷跡も癒えぬ中で、沸き起こったTPP論議に農業・農村は翻弄されている。むしろ今こそ「食料・農業・農村基本計画」に基づく食料自給率50%を達成することを、農政の基本に踏まえて力強い農政推進を図るべきである。
そのためには、今後の農政の展開に当たっては、現場の声が施策に反映し、農業の持続的発展及び担い手がやりがいと誇りをもって取り組めるよう、下記事項について提案をする。
記
I 食と農林漁業の復興・再生に向けた提案
1 長野県北部を震源とする地震からの早期復旧に当たって
東日本大震災は広範囲に人命のみならず農地、生産施設等に壊滅的な被害を与えた。本県においても、3月12日発生した長野県北部を震源とする地震により十日町市、津南町、上越市を始め県内において、農地144カ所農業用施設等239カ所他、総額で約25億円にも及ぶ甚大な被害を受けている。
この震災からの早急な復旧支援を図ること。
2 新潟・福島豪雨に伴う早期復旧に当たって
7月に本県を襲った豪雨災害については、直ちに災害復旧対策に係る緊急要請を行ったところであるが、甚大な被害実態を踏まえ、農地・農業用施設の復旧に向けた支援等を早急に講ずること。
3 食と農林漁業の再生に当って
食と農林漁業の再生実現会議において「基本方針・行動計画」が定められたところであるが、平成22年度の食料自給率は39%であり、食料・農業・農村基本計画で定めた、平成32年度の食料自給率目標(カロリーベース)の50%を目指すため、食料自給率の向上を図るとともに持続可能な力強い農業を育てるため施策を位置づけていく必要がある。
Ⅱ 力強い農業構造の実現に向けた提案
1 農地対策の強化
国が食料・農業・農村基本計画の中で示した、平成32年に農地面積461万haの確保を実現するため、各農業委員会としても改正農地法等の目的である農地の有効利用と転用規制の強化に取り組んでいるところである。今後も国が責任をもって以下の対策等を進め、優良農地の確保を図ること。
(1)耕作放棄地の発生防止・解消対策の強化
平成22年度耕作放棄地全体調査による本県の耕作放棄地は約3900haとなっており、このうち再生利用可能な耕作放棄地は約870haとなっており、農業委員会系統を上げて耕作放棄地の発生防止と解消に努めている。
国としても、耕作放棄地の解消に当たっては、収益が確保できる作物の導入や地域振興の対策と一体的な取り組みが重要であることを踏まえて各種施策の運用を図ること。
また、全国のたばこ産地において、全耕作面積の3割以上4000ha超の廃作に取り組まれているが、これらが遊休農地化しないように、作物転換に万全を期すこと。
(2)基盤整備等の推進
担い手への農地集積を促進し、また効率的・コスト低減の農業経営を確立するためには、圃場整備等の農業生産基盤の整備と農業水利施設等の適切な保全・管理が不可欠である。本県における水田整備率は依然として全国平均を下回っており、また多くの農業水利施設等の改修・更新も必要なことから、引き続き計画的な整備推進対策を図ること。
2 担い手・経営対策の強化
約25万経営体におよぶ「認定農業者制度」を意欲ある経営者にとってより有益な制度とするよう見直しを図ること。その際、平成24年度より導入を目指す「地域農業マスタープラン」における位置づけについて留意すること。
また、新規就農者の確保対策について、「青年就農給付金」・「農の雇用事業」を軸とする「新規就農総合支援事業」を確実に実施すること。
3 農業者の経営安定対策等
平成23年度から農業者戸別所得補償制度が本格実施されているが、制度の検証に当たっては、制度の安定的運用を願う農業者が多いことを踏まえ、制度の連続性に留意してこれに取り組むとともに、所得補償制度を農業経営の「岩盤政策」として位置づけ、さらに農業者の経営の安定施策を位置づけること。
4 中山間地域等直接支払制度、農地・水保全管理支払交付金等
本県において中山間地域における総農家数は県全体の48%、農業算出額は41%をしめている。地域振興政策として「中山間地域等直接支払制度」、「農地・水保全管理支払交付金」・「環境保全型農業直接支払」(旧:農地・水・環境保全向上対策)」、並びに「鳥獣外被害防止対策」について大幅な拡充対策を位置づけること。
5 農業の6次産業化の推進について
農業の6次産業化の推進に当たっては、地域の人材・資源・環境等に根差した取り組みを尊重して行うこと。その際、民間企業など外部の資本力の増強に当たっては、農業生産法人の出資要件に抵触しない等、農地制度との整合性に十分留意すること。
Ⅲ 安全・安心な農畜産物生産・販売に係る提案
3月の原発事故により土壌汚染や風評被害等、国内に未曾有の被害が広がっている。本県においても、7月に放射性物質に汚染された飼料用稲わらの給与により、肉用牛飼育農家は出荷自粛を余議なくされる等大きな被害が発生している。
国は、農畜産物の安全性を確認するための検査体制を継続し、その分析結果をすみやかに公表し、農業者が安心して、営農活動に取り組めるようにすること。
また、農畜産物について、暫定規制値から本規制値の制定に向けた検討を行うこと。
Ⅳ TPP交渉参加反対とWTO農業交渉に係る提案
政府が参加検討をしているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、農業だけの問題でなく、21分野にわたる広範総合的な協定であり、食品安全、金融サービス、投資、医療、労働、政府調達等多くの分野で悪影響を及ぼすことが懸念されており、TPP交渉に参加しないことを毅然と決断をすべきである。
また、平成20年7月以降、膠着状態にあるWTO交渉や、EPA/FTA交渉に当たっては、最近の国際的な食料価格の高騰など食料需給が不透明さを増す状況にあることから、農業者の経営を守るため関税など国境措置について今後とも堅持すること。
V 農業委員会系統組織の体制強化に係る提案
平成21年12月に改正農地法等が施行され農業委員会の役割と責務が大幅に強化された。農業委員会では、年間活動計画の策定、点検・評価の公表とともに、農業委員会の
総会等における法令審議が、迅速、公平・公正かつ適正に行われるように努めるととも
に、議事録の縦覧・公表等、透明性を確保する取り組みを実施している。
農地制度を担う農業委員会・県農業会議に対し、引き続き、体制強化に向けた支援を
講ずること。
以上、決議する。
平成23年11月1日 平成23年度新潟県農業委員大会
第3号議案 農地制度の適正な執行と「にいがた地域農業再生運動」の推進の申し合わせ決議(案)
われわれ農業委員会系統組織では、これまで農地の確保・有効利用と担い手の確保育成に向け取り組んできた。
平成21年12月に改正農地法等が施行され、すでに2年が経過しようとしている中、組織として制度の目的である農地の確保と有効利用を進めていくことが一層重要となっている。
また、農政が大きく変動する中、われわれは新たな農地制度の適正な執行を通じ、農地の確保・有効利用を進めるとともに、地域に根ざした「目に見える農業委員会活動」を計画的に進め、農業の振興とそれを支える農村の活性化を図るため、下記事項について、全力をあげて取り組むことをここに申し合わせ、決議する。
記
1 農地制度の適正な執行と農地パトロール活動の推進
農地の有効利用と転用規制等の新たな農地制度の目的と仕組みについて、今後も引き続き、あらゆる機会を通じて、広く国民全体の理解が深まる取り組みとして進めること。
法令審議や議事録の公開とともに、農地利用状況調査を含めた「農地パトロール」等による農地利用の点検活動を実施し、違反転用や遊休農地の発生防止・解消と不法投棄の防止を図り、転用規制の巌正執行による農地の総量確保、並びに意欲ある担い手への農地の利用集積をさらに進めること。
2 地域に根ざした農政・情報活動の展開
政府のTPPへの参加問題や農業者の戸別所得補償制度の本格実施等、農政が急転関する中で、農業者との意見交換会や相談活動等を通じ現場の声を積み上げ、組織として、農業・農村の現場の声を農政に反映していくための活動を展開すること。
農業委員会だより等の広報や、「全国農業新開」・「全国農業図書」を活用し、農業
者・地域等への情報発信活動を強化する。
3 農業者年金制度の周知と戸別訪問等の加入推進活動の実践
農業委員会だより、市町村広報等への掲載や、農業者の集う会合等あらゆる機会を活用し、制度の周知活動を徹底するとともに、11月から2月までの加入推進強化月間において、加入推進班による戸別訪問などの加入推進活動を進めること。
4 日に見える農業委員会活動の展開と体制の整備
農地制度の周知とともに「にいがた地域農業再生運動」を推進し、日常的な相談活動や戸別訪問等により、地域に根ざした活動を実践するとともに、農業委員活動記録により日常の活動や課題を記録し、農業委員会における活動計画の策定と点検・評価の取り組みを通じて、地域農業・農村の課壌解決に努める「目に見える農業委員会活動」の展開を図ること。
また、農業委員会の活動強化に向け、農地制度実施円滑化事業費補助金等を活用し、農業委員協力員や事務補助員の設置等、農業委員会の体制整備を進めること。
以上、決議する。
平成23年11月1日 平成23年度新潟県農業委員大会
最後は、何を頑張るのか、ちょっと不明確なままの「ガンバロー」三唱で閉会。
マイクロバスに乗り込み、17時30分に柏崎市役所に戻る。
コピーや買い物などをしてから自宅戻り、18時55分、ひきわり納豆を入れたカレーを揚げたての豚モモ肉のカツにかけた、納豆カツカレーで夕食をとる。
チキンカツカレーやビーフカツカレーも捨てがたいが、やはり王道は豚のカツカレーである。
19時30分から市内某所での打ち合わせに出席。結局、議事録の作成をすることになったが、毎回、私がやってしまうと他の人の経験値があがらないので、次回以降の当番を決めさせてもらった。
22時、事務所に戻り、事務仕事。
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