講演会「混乱するエネルギー政策と原子力政策」
京都大学原子炉実験所・山名元教授
3時から5時まで事務所の机の上で仮眠。
5時過ぎ、大粒納豆、生卵、山芋とろろ、マテ貝の炊き込みご飯で朝食をとる。
食後から政策資料の作成。
9時、11時と来客があり、炒り銀杏や沢蟹の姿揚げをつまみながら、お茶を飲み、市長選挙などについて懇談する。
12時30分、スーパーで半額になっていた鶏のモモ焼き、海藻サラダ、ご飯2杯の昼食。
13時過ぎ、柏崎エネルギーホールに移動し、13時30分からくらしをみつめる・・・柏桃の輪主催の講演会「混乱するエネルギー政策と原子力政策」に出席する。
講師は、京都大学原子炉実験所・山名元教授であり、この国には原子力発電が必要であるとの話からスタートした。主な内容は以下の通り。
・私はこの国に原子力発電が必要だと思う立場である。しかし、福島第一原子力発電所のような事故を再び起こすようなら、私も原子力に反対する。
・反省と再出発のうえ、どういう理由でこの国に原子力発電が必要か、お話したい。
原子力に求められる反省と再出発
政府事故調査委員会による「重要な論点の総括」
(1)抜本的かつ実効性ある事故防止策の構築
(2)複合災害という視点の欠如
(3)求められるリスク認識の転換
(4)「被害者の視点からの欠陥分析」の重要性
(5)「想定外」問題と行政・東京電力の危機感の希薄さ
(6)政府の危機管理態勢の問題点
(7)広報の問題点とリスクコミュニケーション
(8)国民の命に関わる安全文化の重要性
(9)事故原因・被害の全容を解明する調査継続の必要性
福島の事故により、反省する事や教訓は多々あるが、感情的かつ扇動的な国民的雰囲気の中で、エネルギー政策と原子力政策は、非常に混乱し、「危ういもの」になってしまった。
「革新的エネルギー・環境戦略を踏まえて・・・」
閣議決定文書とならなかった革新的エネルギー・環境戦略(エネルギー・環境会議、9月14日)
第一の柱:
「原発に依存しない社会の一日も早い実現」(中略)これにより、第二の柱「グリーンエネルギー革命の実現」を中心に、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する。その過程において安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用する。
第二の柱:
「グリーンエネルギー革命の実現」。消費者を含む多様な担い手が主役となる新しい仕組みを構築し、「グリーン成長戦略」を強力に押し進める(後略)。
第三の柱:
「エネルギーの安定供給」。第一、第二の柱を実現するためにも、エネルギーの安定供給の確保は極めて重要な課題である。この観点から、化石燃料などのエネルギーについても、十分な電源を確保する(後略)。
エネルギー安全保障についての議論不足
国民は覚悟していると言えるか?
・我が国の「負担が可能な範囲でエネルギー安定供給を確保」という至上命題の中で、「どこまで原子力依存を低減でき、再生可能エネルギーを増やしてゆけるか」の現実戦略が問われているのに、「原子力ゼロ達成するために、あらゆる負担を確保すべき」ともとれる方向性が提示されているわけで、エネルギー安定供給を基本として日本社会を支えて来た経済界がこれに反発するのは当然。
・福島の事故を見て、多くの国民や政治家が「いずれ原子力発電への依存を減らしたい」と感じているとしても、「代替電源の現実性」や「伴う負担。経済影響、社会的損失」等に関わる情報提供が十分になされていない現状において、「2030年代に原発ゼロ」が「国民の覚悟」であると判断するのは、早計ではないのか。
・現状では、脱原発影響や国のエネルギー安全保障を強くは意識していないような中立的な国民の多くが、メディア報道やSNSを介して、強い原子力否定のポテンシャルに引かれている状況にあるのが実態ではないだろうか。
この混乱の複雑さの背景にあるもの
1.日本経済と産業構造への理解度の低さとエネルギー安全保障への実感の低さ
2.化石資源利用に関わるリスクの実感度の低さ
3.電力送配電系統の安定維持の仕組みへの理解の低さ(系統調整、供給責任)
4.電力需給バランスへの認知の低さ(予備率確保、停電リスク)
5.再生可能エネルギーの特性や課題・負担についての理解の低さ(系統安定化)
6.脱原子力による社会影響(時間遅れ)への危機感の低さ、認知度の低さ
7.原子力発電の意義(見えざる効果)への理解の低さ
8.地球環境・全地球影響をしての化石燃料利用の影響の深刻さへの認知の低さ
9.原子力安全に対する理解の難しさ(リスクと残余のリスク)
10.政府原子力規制の信頼喪失(行政機構の弱体化)
11.公益事業と国の連繁の重大性についての認知の低さ(国家観の喪失)
12.政府への不満(政治の不満、経済の低迷)
エネルギー供給上のリスクと原子力の「見えざる効果」
電力の安定供給に向けて想定すべき主要なリスク
(1)火力発電に伴う化石燃料の供給リスク(特に天然ガス)
(2)化石燃料のコスト上昇リスク
(3)火力発電のCO2排出に伴う長期的リスク
(4)発電プラントの老朽化等のプラントリスクの増加
(5)再生可能エネ発電の大量導入に伴うコスト負担増や導入可能量の不確実性
(6)再生可能エネ発電の大量導入による電力系統の脆弱性増加のリスク
(7)過度な省エネルギー要求による産業へのリスク
等を挙げることができる。
更にデフレという深刻な状況下で、今後の金融危機、財政問題、国際紛争等の政治や経済情勢に関わる不確定性は、エネルギー資源の確保にも大きく影響を与え得る。
なお、原子力発電については、その「安全上のリスク」が、今、最も懸念されていることを忘れてはならない。
コストでは表せない原子力によるエネルギー安全保障効果
1.非常に高い備蓄効果
2.地政学リスクの低さ(政情の安定国からの燃料輸入)
3.シーレーン依存度の低さ
4.二酸化炭素排出への国際圧力の低さ
5.燃料価格変動に影響されない
6.潜在埋蔵量の多さ(枯渇リスクの低さ)
7.原子力保有による、他エネルギー資源獲得へのバーゲニングパワー
8.原子力技術の保有による国際的優位性
9.疑似的であれ「自国エネルギー源」の保有による”Energy Independence”の向上効果(自給率向上)
再生可能エネルギー発電の増強について
再生可能エネルギー発電の設備容量が大きくなる場合の、系統上の技術課題
(1)系統上の影響(ローカル、全系統)があり得る
(2)送配電系統の安定化措置(蓄電池や周波数調整用他電源の維持)
(3)新規送配電の設置(高額)
(4)好天候かつ低需要時の余剰電力対策(畜電池や揚水発電設備)
(5)出力変動に対する調整電源(火力)の確保
等の問題が深刻となり、大きな設備投資が必要になると考えられている。
このインフラ投資の実現性が鍵。
改めて認識したいこと
1.原子力発電は、「日本社会の存立を支える効果を持っている」事
2.原子力安全は、「安全強化措置やソフトの強化によって、十分に低いリスクレベルに抑えることが出来る」事
3.そのためには、政府の安全規制や事業者の取り組みに、「真摯な安全確保に向けた取り組みが必要である」事
4.エネルギー政策や社会は大きな混乱状況にあるが、「原子力排除願望だけでは、なんら、確実な答えは出せない」事
5.「社会の理解を得るための努力が重要である」事(リスクコミュニケーション)
電力事業者の現場においては、「自信を持って、愚直なまでに・・・確実に安全と供給を守る」努力をお願いしたい。
地元の皆さんには、「原子力の意義を見る目」「国のエネルギー政策を見る目」「事業者の姿勢を見る目」をしっかり持って、メディアや大衆迎合政治家、特定のイデオロジスト、似非評論家等の言動について、自分なりに評価し判断出来る姿勢を維持して頂きたい。
最後、質疑応答の時間が設けられたので、1つだけ確認の意味で質問させてもらった。
Q.貴重なお話ありがとうございました。先生からもお話にあった「原発」という言葉の危うさについて、先生のご意見を伺いたいと思います。原子力発電の日本への導入時には、「核電」という言葉もあり、いわゆる左翼勢力が「原爆」と語感が似ている「原発」を多用してきたと指摘する声もあります。いま「原子力発電」「原発」という言葉を使って、福島の事故をもとに廃絶を訴える声がありますが、これだとすべての核技術オプション、核融合(放射能をほとんど出さないHe3核融合含み)などを捨て去ることになります。つまりウラン核分裂型の原子炉のみを「原発」と呼んでいることに私は危機感を感じています。石油火力発電、石炭火力発電をまとめて火発などと言わないように、言葉を整理する必要があるのではないかと思いますが、先生のお考えはいかがでしょうか。
A.言葉の問題は大きいと思います。「原発」という言葉が複雑な原子力発電すべてを表せるようには思いません。原子力発電は核分裂型、核融合は核発電といった言葉の整理は必要です。確かに「原発」では、すべて混ざって聞こえるので、できるだけ分類するよう心がけ、私も発信したいと思う。
講演会終了後、一旦、自宅に戻ったところ、現職・会田市長のマニフェストと総決起大会のチラシがポストに入っていた。対抗馬を推している私に対し、ご親切なことである。
チラシをみれば、総決起大会にはバスをあいだ洋後援会が用意し、片道100円だけ支持者が払うと書いてあった。通常のバス料金で100円の範囲内なら問題ないが、明らかに100円を越えるような地区への提供は、利益供与となる。
加えて笑ったのは、チラシのキャッチフレーズで「さぁ!柏崎を元気に!」とあった。自分が現職であり、かつ2期8年やっておきながら、これから「さぁ!柏崎を元気に!」とは意味が分からない。
18時30分から事務所にて、自分の後援会メンバーとすき焼き丼をつつきながらの会議。今後の柏崎市長選挙に関しての行動予定を決める。
21時30分、某格安カラオケボックスにて、懇親会。
このカラオケボックスでは好物のソフトクリームが食べ放題であるため、ハイボールにソフトクリームを浮かせるお菓子みたいなハイボールフロートをやってみたところ・・・やはりハイボールはそのままで十分との結論となった。
23時に帰宅し、酔い醒ましに熱めのシャワーを浴びる。
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