会派視察:大分県大分市議会「政策コンペ」、佐賀県武雄市「TSUTAYA運営図書館」
2時、就寝。
6時に起床し、1時間ほどゆっくりと風呂に入る。
7時過ぎ、ホテルの2階にて、前回泊まったときと同様、ビュッフェ形式の朝食をとる。大分産豆の冷や奴、大分産ステーキ椎茸、小粒納豆(マルキン食品、元気納豆)2個、温泉卵、大分県名物豊後とり天、津久見産ギョロッケ、スクランブルエッグ、ソーセージ、佐伯産ちりめん、味噌汁、ご飯1杯を食べ、仕上げ?に「元気朝カレー」と書かれていたカレーライスの小盛りを1杯を食べる。朝カレーも悪くないが、ご飯はべちゃべちゃであった。
9時15分、ホテルをチェックアウトし、ホテルから大分県大分市役所まで徒歩で移動する。自分自身は一人会派「決断と実行」であるが、今日の視察は公明党2名、大志民友3名との合同会派視察である。
9時30分、大分市議会事務局にご挨拶し、ありがたいことにえちゴンのマークまで入れて頂いた歓迎表示がある議会運営委員会室にご案内頂く。視察対応をお願いした三浦由紀議員、議会活性化推進会議の委員である佐藤和彦議員から、大分市議会議員政策研究会などの取り組みについてご説明頂く。
*「旨い大分 庶民の味 謎のとり天せんべい」(宝物産 電話0977-23-0311)を頂戴した。
大分市議会議員政策研究会という名称だけでは分かりづらいが、会派、党派を乗り越えて、政策のコンペを行い、そのなかで選定された政策を議会が一丸となって推進していくという試みである。
<発足>
・平成19年10月10日、市民本位の立場で会派を超えた政策研究に全議員で取り組もうと大分市議会議員政策研究会を立ち上げた。
<組織>
・議員政策研究会は全議員で構成され、全議員が参加する全体会議、議長・副議長及び各会派代表の役員会、政策課題を具体的な調査研究するためのプロジェクトチームである推進チームがある。
<政策条例づくり>
・全議員から政策を募集、政策コンペを行い、実際に条例化していく。
・提案議員は7分間のプレゼンテーションを行う。
・テーマの選定は全体会議。
・主な流れ
(1)全体会議でテーマ募集
(2)役員会議でテー万選定
→ 議会運営委員会でテーマ決定
(3)推進チームを中心に進める
(4)役員会で最終調整
(5)全体会議に報告
(6)議会運営委員会での決定
<成果>
・平成20年に議会基本条例、平成23年に子ども条例を制定し、前回の政策課題としては東日本大震災を受け、議長からの声がけで「災害対策」を課題とした。通常時の防災、災害時・復興時の対策等を視野に入れ、調査研究を行い、最終的に昨年12月に市長への政策提言を行った。
<事例:大分市子ども条例制定までの過程>
・全体会議を7回、役員会議14回、推進チーム会議を37回開催
→ 実際には正式ではないが、もっと多い回数の会議を開催している。
・市民からの意見を聞くために、平成22年には(仮称)子どもに関する条例について、平成23年には(仮称)子どもに関する条例の骨子について市民意見交換会を実施。
→ 市民からの意見は推進チームで集約・検討を行い、反映が必要なものは反映した。
・さらに広く意見募集するために、市民や子どもの問題に関する専門家、子どもの声を議員が直接聴く必要があるとして、小中学生や高校生(計3校、34人)や教職員、弁護士など関係者との意見交換も行った。
→ 市民意見交換会の実施にあたっては、全議員で案内チラシとティッシュをもって商店街や駅に立って、周知活動を行った。
・この取り組みに関しては、平成23年11月4日に行われた早稲田大学マニフェスト研究所主催の第6回マニフェスト大賞で優秀成果賞を受賞した。
→ 条例制定後も議会側の取り組みとして条例の説明用パンフレットを作成。
<事例:平成25年議員政策研修会応募>
・今年は6月11日から7月1日まで募集を行い、以下の8件の応募。
a.議員の心得十箇条の制定
b.地域のいいものづくり大賞
c.自殺総合対策条例
d.(仮称)「たかもん頑張れ」条例
e.公契約条例
f.「迷惑駐車禁止」条例
g.(仮称)大分市市民ボランティア条例
h.都市計画街づくり基本条例
・「自殺総合対策条例」が選定され、名称を「(仮称)市民のこころといのちを守る条例」に改め、市民意見交換会を実施し、意見の募集もしている。
→ 平成27年3月の第1回定例会での制定を目指して、調査研究を進めている。
質疑応答となり、主なものは以下の通り。
Q.議会側での条例提案とはいえ、既存の条例の変更などで対応できるものがあるかも知れないがそういったチェックはどの時点になるのか。
A.政策コンペの時点で評価される。
Q.議会側で条例提案を目指そうとしても、予算が伴うような条例は正直、予算編成権が議会にない以上難しいであろう。そういった市役所執行部との調整はどうか。
A.予算が伴う条例の提案を議会が行うのは難しく、実際には理念条例がメイン。ただ、推進チームと執行部との意見交換、調整は行っている。
Q.中身の話に入って恐縮であるが、災害時の議会の動きについて、柏崎市議会では中越沖地震を経験して以来、議論を進めている。実際のところ、大分市議会ではどんな内容を提案したのか。
A.災害時、自分も被災者なる可能性があることから3日程度は自分の周りの事をやってもらい、その後に議会としての動きになる。議長発案で取り組んだものであり、災害時に政治的な動きができないような手法を取り入れた。
Q.最終的に条例を本会議場で提案するのは誰になるのか。政策コンペで提案した議員か。
A.議員が一丸となって取り組むので、最終的な本会議場での条例の提案は、議会運営委員会となる。
Q.市民との意見交換会について、市民の出席はどの程度か。
A.のべ400名を超える。100名ほど入る場合もあり、関係が深い市民や学生などに対しても個別に説明会を実施した。
Q.条例制定のための講習会などの費用はどうしているのか。柏崎市議会では、かかった費用を全議員で割り勘しているが・・・。
A.議会の研修費として、講師謝金(10万円)を東京都内から1名、九州内2名程度の講師が呼べるよう費用を計上し、講師旅費は13万円程度をみている。
Q.議員報酬や議員定数について公聴会制度を使って意見集約をするという話を以前に聞いたが、その後はどうか。
A.公聴会制度自体、議員側が思い描いていたものと乖離があって公聴会を行っていない。議員の報酬や定数は市民との意見交換会のなかで行った。
Q.どれぐらいのペースで条例制定に取り組んでいくと考えているのか。
A.4年の任期のなか、2年に1条例といったペースで行っており、現実的にこのペースが忙しさの限界。
その他、議員同士の話として議会改革に必要な、オープンにできないような深い意見交換。そして、お約束で議場の拝見させてもらう。
国旗については、社民党が第2党ということもあり、三浦由紀議員が議長時代に議長室に国旗を掲揚したそうである。
非常に議会改革をはじめ、色々な刺激をもらった視察となった。三浦由紀議員、佐藤和彦議員、そして議会事務局の皆さんに感謝である。
視察終了後、佐賀県に向かって移動。
13時、「三奈木のタマゴ」特製という「たまご焼き(ねぎ) 500円」と他の視察メンバーからもらった焼鯖寿司で昼食をとる。
卵を何個使ったのか分からないがボリューム感たっぷりで、自分の味付けよりは少し甘めの卵焼きで、意外にも満腹となった。
14時10分、佐賀県武雄市役所に到着。現在、二期目となる樋渡市長が就任してから、全国各地方議会をはじめ、各種団体からの視察が相次いでいるそうであり、本来であれば指定日にしか視察できない。今回は、前議長である牟田勝浩議員に直接お願いした次第である。
*「武雄温泉 楼門もなか つぶあん」(山里屋老舗 電話:0954-22-2059)、「長崎街道 花の陣」「長崎街道 月の陣」がセットになった「長崎街道 夢本陣」(恵比須堂 電話:0954-22-2550)、そして樋渡市長が新しい名産として取り組んでいるレモングラスのお茶を頂戴した。
まず最初に先進的な取り組みをしている武雄市議会の議場を見学。
もともと武雄市はテレビの難視聴地区でケーブルテレビがあったために、昭和の時代から議会の中継を行っていたという。現在のネット中継には文字をリアルタイムにテロップとして表示(市職員が迅速に入力)している。
さらに議員の一般質問はデジタル資料を使って行っており、議場には大きな液晶モニターが配備され、プレゼンテーションのように行われている。主な目的は、以下に執行部に理解させるかにあるという。
議場へのパソコンの持ち込みはもちろんのこと、通信機能を利用し、リアルタイムにフェイスブックやメールで市民などから来た意見も各議員が取り入れるという柔軟さ。
我が柏崎市議会で実現させるためには、抵抗勢力とのかなりの戦いが予想される。
議場の見学に続き、先進的な行政運営をしている武雄市の現状と話題の図書館のTSUTAYAへの民間委託について生々しい議会の状況と合わせて、牟田勝浩議員にご説明頂いた。
<武雄市の最近の流れ>
・ほんの7年前までは普通の「停滞か前進か」で最年少市長が誕生した。まずは経済部、産業部を廃止し、営業部に組織変更、意識改革を行った。
・佐賀のがばいばあちゃんのロケ誘致をして、マスコミとのネットワークができた。
・市立病院の民間売却が大きな問題があり、市長リコールもあったが、「たらい回しをなくし、市民の生命を守る」ことをモットーに、何でも受け入れる民間医療機関を誘致。
・これにより売却益はもとより、固定資産税が入るようになり、人材育成の学校もできた。
→ 救急隊員が一番喜んでいる。
・改革のスピード感があるため、市職員の早期退職が多かった。
・議会自体は市長与党が過半数。イチローでさえ3割バッターなので挑戦することが大切という雰囲気がある。
<武雄市のIT戦略>
・武雄市のホームページをFacebookにしたので、閲覧数が半年で1500万アクセスとなった。シリコンバレーのFacebook本社、グーグル、アップル本社に出向いた。
*なんと市役所内にFacebook City課がある。
*加えて、いのしし課があり、行政が猪肉を処理する施設を支援している。
・情報発信を常に意識しており、武雄市として何を発表する際にもニュースにも載り易い日を選択する。
・現在は、全市小学校にiPADを配布する取り組みをしている。
<図書館の民間委託>
・市長がテレビ番組(「カンブリア宮殿」)を観て、「市民のための図書館」のイメージと一致。TSUTAYAの増田社長と路上でたまたま会い、依頼。
→ 平成24年5月4日武雄市とCCCが基本合意締結
(基本合意の骨子)
進展する高齢社会の中で、豊かな生活を実現するための中核的施設として、武雄市図書館・歴史資料館をより市民価値の高い施設として運営するにあたり、CCCが運営する「代官山 蔦屋書店」のコンセプト及びノウハウを導入し、企画すること、及びそのための重要な手段として付属事業を展開することについて、武雄市とCCCが提携することについて合意する。
・提携により武雄市図書館にて実現する9つの市民価値
(1)20万冊の知に出会える場所(開架10万冊から20万冊へ)
(2)雑誌販売の導入(ライフスタイルの提案)
(3)映画・音楽の充実
(4)文具販売の導入
(5)電子端末を活用した検索サービス(i-pad)
(6)カフェ・ダイニングの導入(スターバックスの出店)
(7)「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入(自動貸出機、分類方法、空間なそ)
(8)Tカード、Tポイントの導入(同意、選択制)
(9)365日、朝9時~夜9時までの開館時間
・図書館ではTSUTAYAに随意契約だったので、議会での議論はもめた。これまでの市立図書館は、1億2000万円~1億4000万円の維持費(10時~18時)。しかしTSUTAYAは年間1億円で委託し、休みなしで9時~21時の営業。
・民間委託の最初のリフォーム費の3億数千万は武雄市が支払ったが、数年で回収できる。
・議論の多くはTSUTAYAカードの利用により、個人情報が外部にでてしまうことであった。しかし、既存のカードも用意した。
*無料で借りても2ポイントつくのが問題になったが、懸念であり、現実的には非常識なことをする人間はいなかった。
・武雄市民が使えないほど、周辺自治体から利用客が来る。
・図書館の視察には、毎日3~5自治体が来るようになった。
・図書館のスターバックスは瞬間風速であったが、全国1位の売り上げになったことがある。
・図書館の利用率がかなり上がり、子供自らが足を運ぶようになった。本のリクエストも多い。
・公立図書館(図書館法の縛りは詳細までの規程はない)が商用施設になるのではないかという議論もあったが、結果的に本を読んでもらうのが目的であるという認識。実際には販売している新刊の本も無料でコーヒーを飲みながら読めるという環境になっている。しかも雑誌も読める。
・現在の図書館のスタイルに反対している市民には、車で数十分で周辺自治体の図書館を利用してほしいというのが市長の答弁。
・地元書店との兼ね合いにより、教科書や図書館の蔵書は地元書店に購入している。
・図書館の改装時に反対の声があった地元の貴重な蘭学資料を取っ払った件は、新市庁舎建設時に置くことで了承してもらった。
15時50分、武雄市役所から図書館に移動し、視察させてもらう。内部の写真撮影は不可。
議場の設備、議会運営、行政の取り組みなど先進的な事例を色々と勉強させてもらい、牟田勝浩議員、そして議会事務局の皆さんに感謝である。
16時過ぎ、お礼を述べたのち、佐賀県鳥栖市に移動する。
鳥栖市も市議会議員選挙の真っ最中であり、名前の連呼と「宜しくお願いします」という街宣車を多く見かけた。
他の自治体の選挙では、ポスターの作り方など参考になることが多い。
19時、佐賀県鳥栖市に住む、20代の頃からの友人・某氏と久しぶりに会う。某氏の自宅で夕食を頂いた。
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