現地時間2時(日本時間3時、時差-1時間)に就寝。
現地時間6時に起床し、持参してきたノートパソコン(ThinkPad X61,SSD,SXGA+化,LEDバックライト化)で急ぎのメールなどを処理する。
現地時間8時10分、ホテル1階でビュッフェ形式の朝食。固めの玉子焼き、ハム、しめじとキャベツの炒め物、ベーコン、マンゴージュース、味噌汁でご飯2杯を食べる。
まるでトーストかのような玉子焼きには驚いた。
現地時間8時30分、ホテルロビーに集合し、5~6名のチームに分かれての台北市内散策にでかける。今回の視察団に参加している団員自らがコースを作り、地元の大学生からサポートをうけ、台湾の魅力を探り、午後にそれぞれのチームが発表会を行う。西門町チームには、元智大学3年生、若干20歳で客家の血を継ぐ張嬢についてもらった。
まずはMRTで中山駅から西門駅に移動。西門町は若者やいわゆるオタクが多く訪れるまちであり、秋葉原のような感じがある。
西門駅の構内には、大ヒット中の日本アニメ映画『君の名は。』の大きな宣伝ポスターがあり、駅出口には懐かしの『聖闘士星矢』の登場人物である射手座(サジタリアス)のアイオロス(教皇)が使う衣箱が置いてあった。
オタクっぽい文化なのか、ちょっと面白い系なのか「御守の神社」という自動販売機があり、販売している水のボトルにおみくじの「大吉」「小吉」が書かれ、水を飲むうちにおみくじの内容、文字が見えてくるというものがあった。発想が面白い。
この地区の歴史的建造物である「西門紅樓」は、1908年に建てられ、現在はリノベーションをし、若者のビジネス発信場所となっているが、工事中にため、近寄れず。建造物を飛ばして、グルメに行こうと方向転換。
*民国9年の風景。現在民国105年のため、96年前。
しかし、現地時間9時30分、最初のグルメ目的地である創業50年のかき氷店「楊記花生玉米冰」(電話:02-2375-2223)に到着するも、開店時間が11時からであり、再度の予定を変更となった。
グルメより先に歴史を学ぶことにして、台北二二八和平公園に向かって歩いて移動。
途中、台灣省城隍廟の建廟135周年を祝う祭りに遭遇したので、しばし龍の舞を観させてもらう。
土地の神様(城隍爺)を祀っている廟で、信心深い台湾人の一面であろうと記念撮影。
振舞われる紅白の餅を茹でるのも豪快である。
現地時間9時40分、台北二二八和平公園のなかにある国立臺灣博物館に到着。
建物は台湾総督府の技師・野村一郎氏による設計で1915年(大正4年)に完成した。日本統治時代には台湾総督府博物館として使われており、イタリア産の大理石が多く使われたドームを持つ古代ギリシャ風である。
今回は特別展として、台湾における自転車工業の歴史が展示されており、台湾の世界的な自転車メーカー「Giant」が生まれる背景を知ることができた。
現地時間10時20分、二・二八事件(1947年におきた蒋介石一派による反対派の粛清と弾圧)について紹介する二二八紀念館に入る。
建物は台湾総督府営繕課・栗山俊一氏による設計のスペイン風コロニアル様式で、1931(昭和6)年に竣工。日本統治時代は、ラジオ局として利用され、玉音放送もここから流された。
6年前に訪れた際には、日本語世代の方が多く、とりわけ帝國陸軍の第15師団(祭兵団)として、インパール作戦にも参加された蕭錦文さんなどのアツい方が案内を担当されていた。現在は時間が経ちすぎてしまい、その世代の方による案内が無くなってしまった。
そのため、国民党が中国大陸から台湾に来た際に「歓迎」と言いつつも、青天白日旗をわざと逆にし、受け入れなかったことなど私から同じチームのメンバーに紹介させてもらった。
現地時間11時10分、MRTの台大医院駅から再度、西門駅まで移動。駅から徒歩で移動し、1961年創業「楊記花生玉米冰」(電話:02-2375-2223)の人気ナンバーワンのかき氷「花生玉米加圓冰 100元」を食べることができた。
白玉やピーナッツは分かるが、コーンの粒が甘くなってかかっているのは、日本人は無い感覚である。
他のメンバーが頼んだ小豆のかき氷は、まるでカレーライスのように餡がかかっていた。糖尿病まっしぐら感が凄い。
かき氷で満腹になったものの、昼食も地元グルメのお店に行こうということで、現地時間12時、台湾版ドラマ『孤独のグルメ』にも登場した創業50年の「鴨肉扁」(電話:02-2371-3918)に移動。
店名は鴨となっており、創業時には鴨肉料理をだしていたが、現在はガチョウの肉となっている。かなりの人気店であり、やっと座れたところで「ガチョウの燻製 300元」、「ガチョウ麺 60元」で昼食をとる。
*「ガチョウの燻製 300元」
*「ガチョウ麺 60元」
野趣あふれるガチョウの肉は噛むほどに旨味がり、麺のスープも骨の出汁もでて滋味深い。『孤独のグルメ』の主人公・井之頭五郎風に言えば、
「悪くない・・・
悪くないどころか、ドンドンいけちゃうぞ」
「この骨、いぃ~仕事してる・・・」
といった感じである。
食後、再度MRTで移動しようと思うも、富士宮やきそばを発見。静岡県から来ている文化・観光部観光交流局観光振興課のS氏が早速、購入して確認を行う。一口食べさせてもらったが、その甘さから「似て非なるもの」。スイスから来た男性が、購入して食べており、S氏と記念撮影。台湾の地で、日本人がスイス人と富士宮やきそばについて語るという、訳の分からないシーンになった。
日本国内に間違った英語表記が多いように、台湾国内でも間違った日本語表現も多くあり、西門駅近くでは「麺の大盛り、スープの追加」が無料というお店にも関わらず、麺もスープも無料放題!で、「何にお金払うの?」風の看板があった。
現地時間13時30分、外交及国際事務学院に到着。急いで午前中の視察の写真をパワーポイントによるプレゼンテーション資料としてまとめる。
午前中に視察した内容から、歴史を通してみる台湾人のアイデンテイティ、食を通じた日本人との感覚の違いなどから写真を並び替え、現地時間14時30分からプレゼンテーションを行った。
ティーブレイクで、軽いミックスサンドイッチやクロワッサン、チーズケーキを紅茶で流し込んだのち、現地時間16時から特別講座。淡江大学ASEAN研究センター・林若雩所長を講師として、「蔡英文政権下における外交、新南向政策」について、ご講義頂いた。
林所長はサンリオのキャラクターがお好きならしく、真面目なプレゼンテーション資料にも関わらず、キティちゃんやシナモロールの背景を使用している・・。
主な内容は以下の通り。
1.三部曲-台湾政府の東、南アジア外交政策
(1)南向政策の過去、現在と三荒
過去:1993/4~1998/5貿易興投資
李登輝時期で台湾の奇跡
シンガポール、インドネシア、フィリピン
(2)2000~2008 陳水扁時期の南向
インドネシア
(3)2008/5~2016/5馬英久時期
西向>南向
ASEAN-台湾は多数貿易
AEC-2015年設立
TPP&RCEP
(4)未来世4或8年(2016/5~2024/5)
蔡英文:新南向政策
・国家レベル(ASEANセンター)組織
ASEAN、ニュージーランド、オーストラリア、インドまで拡大。
→ アジアの指導者は変わりつつあり、今後、安定化していく。
・パブリック・ディプロマシー(Public diplomacy)を強化
<ASEAN経済共同体(AEC)>
2015年12月31日、正式に設立。
4つの目標:
(1)単一市場と生産基地を設立する
(2)競争力高度化の経済区域
(3)バランスのいい経済機構を発展
(4)世界経済体系に加入できる区域経済体
2.新南向政策推進計画
・政府は「長期的な取り組み、多元的な展開、互利互恵」の核心的理念を堅持して、中央政府、地方自治体、民間企業と団体、台湾を支持する第三国のリソースと力を結合し、ASEAN、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなどの国々と協力し、「経済貿易協力」「人材交流」「資源の共有」「地域の連携」4つの方向から地域の発展と繁栄を共同で創出する。
3.多元化、多角化、共勝ちの戦略政策
・ソフトパワー、両方の民間交流、文化、教育、文創、研究などの面に連結
・台湾優勢、東南アジア外国籍配偶者15万~18万人、東南アジア外国籍配偶者50~60万人
・お互いにより深く分かち合い、文化的ショービニズムを持たない。
4.新南向と旧南向の違い
・片面投資から両方交流へ
・貿易面から多元化、多角化まで
・「以人為本」を中心
・民国105年8月16日、大統領による開催される対外貿易戦略会議にて「新南政策」政策綱領を可決し、計画に進む。
5.東南アジアとの関係で台湾が優位な点
・民進党はASEAN各国民主政権とよく連絡
・台湾娯楽文化(文創産業、歌手)
・台商は、約1000億ドルの投資をもっている。
・ASEANに数多い華僑がいる。台湾にも帰国子女政策がある。
・出稼ぎ労働者と外国籍花嫁の力が強い。
・「新台湾之子」的感情繋がり。言語教育と外国籍花嫁第二世代を育てる。
6.世界と地域政治経済連合
アメリカ:アジアへ引き返す
中国とアジアにての競争
(1)FTA AP
(2)TPP(アジア)
(3)RCEP(東亜)
7.台湾の戦略
(1)アメリカ、インド、EU、日本、韓国のASEAN政策を深く了解する。
(2)多元化、多方向、共勝ちの戦略
ソフトパワーの活用
(3)イスラム教世界の理解を強化、相互交流
8.台湾と日本との協力でできること
(1)昔の戦略「南進、西和、北進」を変え、「新南政策」
(2)多元化、多角度経営(多国籍企業からの投資を目指す)
(3)台湾新幹線と日本の新幹線は合作して東南アジアに競争入札で勝ち取りに行く。
(4)台湾は明らかに中国と違う南シナ海政策をとる
(5)地方、中央政府は台商のバックアップし、サービスを提供
(6)教育:交換留学生や言語教育など、有効に新しい世代での関係を強化する
(7)有効にソフトパワーを利用
文化・宗教の認識を強化、人道援助、災害救助のノウハウ、NGOなど国際センターの設立、娯楽産業の輸出
(8)産業チェーンの協力強化
(9)ASEAN各国との「産業の橋」を作る
(10)貿易協力を強化し続ける。
経済合作協定(ECA)、実質的な貿易関係を改善
質疑応答については、以下の2点の質問させてもらった。
Q.貴重なお話に感謝したい。2つの質問をする。まずは先ほどのご講演のなかで、アジア諸国はリーダーの交代により安定化していくとのお話があった。しかし、私は少し認識が異なる点がある。一番分かりやすい事例は、タイ王国。プミポン国王が崩御されたことで、国民間の内紛、色でいえば黄色と赤色の対立にピリオドを打てることが難しくなったと思う。誰が次の国王になるのか分からないが、長男が継承したとすればカリスマ性はなく、国内の内紛に対して、プミポン国王のように平定することはできないであろう。タイ王国の事例であるが、同様に国内内紛が激化する火種がアジア各国にもあり、その背景には中国共産党の影響もある。本当にアジアはこれから安定していくと考えてよいか。もう一つは新幹線の日本との合作である。こういった大きなプロジェクトではなく、台湾の工業界が本来持っているもの、そして日本が独自にユニークな研究をしているものの融合、すなわちIOTで両国が協力していく方が良いのではないか。東南アジアでのマーケットもその方が大きいと思うがどうか。
A.タイ王国に関しては、王位継承者がどうなるかにもよるが、いずれは安定するものと考えている(質問の含意が伝わらず・・・問題は国民を分断する勢力とそれを抑える力)。新幹線など日本との技術協力においては、大きな事業の事例として挙げたものであり、東南アジア諸国でのマーケットをよく注視していく必要があると思う。
現地時間18時に終了となり、徒歩にてイタリアワインと料理のお店「Winona葡萄酒餐庁」(電話:02-8773-5556)に移動。ペール・エールのイタリアンビールを飲んだのち、ハウスワインの赤を飲みつつ、マッシュルームのニンニク炒め、モッツアレラチーズフライ、鴨肉サラダ、サーモンサラダ、ポテトフライ、チキンピザなどをつまむ。研修3日目となり、メンバー相互も会話も弾むようになってきた。
現地時間20時40分、宿泊先である「福泰桔子商旅 林森店(フォルテオレンジホテル リンセン)」に戻る。
昼間の間に処理できなかったメールや電話があり、対処に追われる。
現地時間24時、熱めのシャワーを浴びたのち、読書。
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