井村雅代講演会「人を育てる~愛があるなら叱りなさい~」
6時に起床し、シャワーを浴びてからチェックアウト。
7時過ぎ、東京駅に移動し、上越新幹線「Maxとき305号」に乗り込む。途中、駅売店で購入したおにぎり2個セット(鮭、昆布)、味付き卵、牛乳で朝食をとる。
長岡駅で乗り換え、10時31分に柏崎駅に到着。
自宅に戻り、身支度をしたあと、すぐさま新潟市に向かって移動する。
12時40分、今までなかなか機会のなかった「バンバンバン餃子 吉田店」(電話:0256-92-7001)に入り、禁断の?「餃子カレー 600円」で昼食。かなりコストパフォーマンスの高いお店であり、定食に100円を追加すると、カップラーメンがついてくるという。「しょっぺ店」感が素晴らしい。
14時過ぎ、ANAクラウンプラザホテル新潟に到着し、14時30分から井村雅代講演会「人を育てる~愛があるなら叱りなさい~」(主催:経営者・スポーツ指導者セミナー実行委員会)を聴講。
「鬼の井村」の異名があるシンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチであり、確実に指導成果をだすことで有名な方である。
プロフィールや主な内容は以下の通り。
【プロフィール】
昭和25年8月16日生。大阪府出身、天理大学体育学部卒業、元大阪市中学教諭。10年間のシンクロナイズドスイミングの選手を経て、1974年よりコーチをはじめる。1978年から日本代表コーチも務め、1985年には 井村シンクロクラブを設立。シンクロナイズドスイミングがオリンピック種目になってから、9大会連続メダル獲得を成し遂げ、立花美哉や武田美保をはじめ、多くのオリンピック選手を育てている。
北京五輪では中国代表コーチを務め、中国シンクロ初のメダル獲得に導き、ロンドン五輪では中国初となるデュエットでのメダル獲得にも導いた。
アメリカ、カナダ、韓国、スペイン等の国に講師として招かれ、2013年5月から7月の世界選手権までイギリスにコーチとしてわずか2か月の指導で好成績を収めた。
2014年4月からは日本代表コーチに復帰し、2016年のリオ五輪ではデュエットが2大会ぶり、チームとしては3大会ぶりにメダルをもたらした。
<リオ五輪、環境に左右されないこと>
・リオ五輪は、私にとって通算9回目のオリンピックであったが、たまたま気が付いたら9回目になったという感じ。何度オリンピックにでても、やり残しがあった。そんななかでもリオ五輪はもっとも最悪といえる。選手村の水回りは大変であり、トイレもシャワーもまともに使えなかった。食堂のパンも割ったら、パン粉になるほど。食事も環境が悪かった。しかし、「この環境のなかでも金メダリストも生まれる!」と選手に言い続けた。プールの水も緑色であった・・・。シンクロナイズドスイミングの選手は水中で目を開けて、壁を見ながら回転数をカウントしている。壁が見えないのは最悪。緑色の水には微生物も発生しており、選手が水を飲めばお腹を壊し、病気になる。競技前でプールの水の入れ替えるような運営。でも、同じように言った。「この環境のなかでも金メダリストが生まれる!」と。そういう状況のなかでも、崩れない練習をしてきたのは、ロシアと日本であった。良い環境で良い演技ができる、のは当たり前であり、それだけしか想定していない国は崩れていった。
<文句をいうのは余力がある。>
・マーメイド・ジャパンと言われるが、人魚どころではない。私は両生類と言われるほど選手を育て、追い込んできた。
・練習や試合、もしくは仕事などで成果ができないとき、文句を言う人を見たら、まだその人は余力があると思えば良い。本当にギリギリならそこまでにならない。文句を言っても何の解決にもならないことを受け止め、その環境のなかで選手の力を引き出すのがコーチの役目。
<国賊、裏切り者と呼ばれて>
・代表コーチとして、アテネ五輪で銀メダルをとらせて、2004年をもって辞めた。それは、日本の若いコーチの手助けをする側にまわり、後進の育成のために譲った。まさか、自分が10年ぶりに再度、日本の代表コーチに復帰するとは思ってもいなかった。何が起こるか分からない、だから人生は面白い。
・中国に招かれ、中国の選手と五輪2大会、4年半中国にいた。中国に招聘されたときには、マスコミから何から私はボロ糞に叩かれた。国賊、裏切り者などと言われた。そこまで批判されるまでとは思っていなかった。一瞬、足が止まったが、悩んだときにいつもやる手法で、私の中のもう一人の私に問いかけた。日本の人は外国からコーチに来てもらうことは慣れている、しかし日本人コーチが海外にいくことは慣れていない。最初だから、そんなものだ、と考えた。最初に大リーグへ行った野茂だって、そうだった。日本の選手を捨てるわけじゃない、と自分で納得した。
<日本復帰後の選手との関係、豊かさと平和>
・10年ぶりに日本の選手を教えることなった。2013年にはウクライナにも日本は負け、日本は五輪にもでられないことが見えた。そのとき3人の水泳連盟の方が来て、再度のコーチをお願いされたのが経緯。
・教え始めたら、外国よりももっと外国で、日本語が通じなくなっていた。言葉は分かっても、真意が伝わらなかった。日本の若者は10年の間に変わった。価値観がすべて変わったと思う。ありがとうの気持ち、目標の持ち方が無くなっていた。平和で豊かな日本が、このような若者を作った。日本語なのに日本語が通じない。
・2、3週間は我慢したが、挨拶の仕方から話をした。しかし、話の意味が伝わらなかった。挨拶のことで質問?もされたほど。選手は、朝の挨拶でにこやかにしているとダラけていると相手に思われる、と思い込んでいた。これは日本が豊かで平和な国だから、こうなった。
・競争の場であるはずの練習も、何をやらしても横一列。何をやっても差がつかないことに驚いた。選手が一番好きなのは「みんなと一緒」「絆」、嫌いなのは「一人目立つこと」。一匹狼という言葉は死語になりつつある。
<目標設定と原因追及>
・選手に目標を聞くと、10人のうちほとんどが「ロシアに勝つこと」と答えた。つまり、彼女は大きな目標をもつことが大切だと思っている。それはそれで大切であるが、練習で達成すべき今の目標、小さな目標を設定しておらず、燃えない選手になっていた。本人が「頑張りました」と言ってしまうほどであり、目標もない。頑張ったかどうかは他人が決めること。
・一番嫌いな言葉は「自分へのご褒美」。これはおかしい。ご褒美は他人からもらいなさい。
・コーチの仕事は技術や精神力をもたせることであったが、若者につけさせた技術や精神力を出させることも大切、心のスイッチを入れるのも、大きな仕事であった。
・何故、競争をしない燃えない若者になったのか。それは3つの経験がないからではないか、その3つは(1)倒れるまで練習したことがない、(2)目標を達成できなかった、失敗をした大声で泣くほどの悔しい思い(3)本当に嬉しくて、人生最高の喜びを感じる、これらは達成感がないことである。
・毎回メダルをとろうと思ったオリンピックに行っているはずなのに結果がだせずに、「精一杯やったから良いじゃないか」と周りに言われ、それで終わっている。周りの大人も悪い。失敗には原因がある。その原因を追究しないから、また失敗する。私は「あなたのこれが悪いから失敗した」とはっきり指摘する。誰の何が悪かったか、をきちんと練習で指摘しなければ、伸びない。そうでなければ、失敗の意味はない。
<強い国より練習>
・練習で強くする以外に勝つ方法は無い。朝は7時40分から練習し、昼休みは30分休み、夕食後も練習という3部練習。世界の多くの国は、5日働いて2日休む。だったら、弱い日本は強い国より練習しなければならない。8日に1日休みにした。私もきつかったが、これをやり続けた。選手が「目標は、その日に寝ること」というほどの練習であった。
・試合直前になれば、過労になってしまうので、きちんと時間にはやめさせる。そのときに、初めて時間に関係なく、過酷な練習をしてきたことのありがたみが分かる。
・練習中、選手たちにもっとも使った言葉は、「無理をしなさい」「力をだしなさい」。・プールサイドのホワイトボートに色々な言葉を毎回書いた。「自分の可能性を信じよ」「練習は嘘はつかない」「1ミリの努力」など。
・普通にやったらできない、ちょっと無理をしたらできる課題を設定し、無理して取り組ませる。練習は嘘をつかない。努力して当たり前であり、その努力の質を上げていく。
・メダルは偶然にとれるものじゃない、勝つべき人が勝つ。奇跡は起きない。今まで何をやってきたかで決まる。
<1ミリの努力>
・目標達成の秘訣は1ミリの努力を積み重ねる事。1ミリが2ミリになり、その2ミリが1センチ、やがて1メーターにもなる。
・垂直跳びでいえば、今、40センチ跳べるとして、3か月後に50センチ跳べるように目標設定したら、ハードルが高い。しかし、明日40センチ+1ミリなら、絶対に跳べる。
・目標達成は大きなものと小さな目標の2種類がある。大きなものと日々の目標はどちらも同じ価値がある。一歩だけ進化する小さな成功体験を積み重ねることで、次へつながる。達成感の証を経験させなければ、ならない。だから毎日1ミリの努力、1ミリの進化をさせる。
<心の才能>
・一番大切な才能は、心の才能。人生いくつになっても、新しいことが起こる。必ずうまくいかなかったこともでてくる。ここで心の才能がない人は、きっと自分は適していないと言ってやめる。心の才能のある人は、自分は努力したけど、努力の仕方が足りなかった、もっと頑張ろうと思う。この努力を支えるのが、上司であり、コーチ。
<叱ること>
・日本の教育界、スポーツ界で叱る教育といえば、私ということになった・・・。無理に叱っている感覚はない。 本当のこと、ダメな物はダメと言ってるだけ。ただし、それを治す方法を言う。本人は正しいと思ってやってるつもり。一つ目の方法ですぐにピタッと直ることは少ない。直るまで次から次へと直る方法を言い続けること。
・選手の可能性を信じる。コーチも本気で勝負している。絶対に変えてやる。小さい子どもには「凄い」「びっくりした」と、思いっきり驚いてあげること。そうすると、小さい子は絶対に、その表情をもう一回見るため、もう一回驚かそうと思って頑張る。いまは大学を卒業している子にも驚いてあげなければならない・・・(苦笑)。
・叱るコツは3つ。(1)現行犯で叱ること(2)過去のこと、古い事は思い出しても言わない。現行犯は必ず反省する。反省しているところに過去の話をもちだすと、反省する気持ちから復活して反発する気持ちが生まれてくる。そして、(3)分かりやすい言葉で単刀直入に言い、しつこく叱らないこと。
<リオ五輪に向けての戦術>
・とにかくプールの中で選手を追い込んだが、コーチとしてそれ以外にできることを考えた。それは曲。体格的に恵まれている国と、同じアップテンポの曲では絶対にかなわない。起承転結のあるメロディアスな曲を作ってもらった。
・シンクロナイズドスイミングは採点競技。感動がなくては、良い評価にはならない。審判員の心にも配慮した曲にした。
・選手のため、観客の手拍子や拍手のなかで演技させたいと思い、心拍数に近いテンポも取り入れた。選手たちが「応援が力になりました」は本当の話。
・水着にもこだわった。リオ五輪のプールは屋外プールでの競技。水着は戦闘着であり、小柄の日本選手が輝いて大きく見えるデザインにした。あの水着は日本の技術の結晶で、1枚の生地で作り、さらに日本の伝統技法「手捺染(てなっせん)」で太陽光に負けない発色にしてもらった。チーム内には16cmの身長差があるため、水着が見えるように指導した。それは足の長さの差より、水着に目をいかせるため。これもテクニックのうち。
<千人針とスワロフスキー>
・水着にスワロフスキーをつけるデザインであったが、そのスワロフスキーはそれぞれの選手の母親につけてもらった。それは戦時中の千人針からの発想。戦場に赴く兵士は、命をかけて戦うが、郷土の人からの千人針に守られていた。その事を母から聞いていたので、戦場に向かう兵士のような選手のために、選手の母親からつけてもらった。たった1枚しかない、薄い水着にスワロフスキーをつけるのは大変だったようであるが、その応援の気持ちが選手にも伝わった。
<正しいことをやり続ける>
・5日間の試合のなか、初日に失敗したとして、それで失望して、ヤケになっても意味はない。自分ではできたと思っても、世の中の評価が伴わない時がある。世の中はいいことばかりではない。どんな結果が来ても、真面目に正しいことをやり続ること。きっと誰かが、一人ずつかも知れないが、こっちを向き、評価をしてくれる。
<プレッシャーは感じなさい>
・プレッシャーは、精一杯背負うこと。プレッシャーは誰にでもかけられるものではない。期待されているからかけてもらえるもの。選ばれた人にしかかけられない。思いっきりプレッシャーを感じ、追い込まれたら必ず分かる。努力するしかない、必ずそこに辿り着く。
<リオ五輪で選手にかけた言葉>
・私にとって9回目の五輪であるが、今回は一番きつい練習を選手にやらせた。そのきつい練習をしたのだから、「この場1回の演技ぐらいは、泳げるに決まっている」と声をかけた。
<丁寧はいらない>
・練習をやるだけやってきたら、本番でできないはずがない。しかし、人は失敗したくないと思ったときに、丁寧にやろうとする。
・シンクロナイズドスイミングのリフトにそれは現れる。勇気を出して、仲間を信じて、0.001秒の瞬間で上げる。自分の可能性を信じなさい。
<一流とは>
・三流の人は、とにかく流行や周りに流れる。つまり、道に流される。
・二流の人は、用意された道を選ぶだけ。
・一流は、自分で道を作る。真似をせず、いつも新しい提案を世界にしていく。私はその一流でいるために努力している。
<前にでること!>
・人は人の目にさらされて、成長する。多少、力が足りなくとも、人の前に出てとにかくやってみること。人の目は痛くて辛いが、それは必ず自分を成長させてくれる。
・前に行ったら、また前がある。前を知って、さらにその次の前が見え、そこに行くことができる。前に行かない人は、前があることすら知らない。
・前へ、前へ進みなさい。
得るものが多い素晴しい講演であり、こういった方の話を聞ける場を作ってもらった関係者の皆さんには感謝したい。
16時過ぎ、宿泊先のホテルにチェックインし、持参してきたノートパソコン(ThinkPad X61,SSD,SXGA+化,LEDバックライト化)で急ぎの事務仕事。
18時、近くのコンビニで購入したシャキシャキレタスハムサンドイッチ、海藻ミックスサラダ(ドレッシングはおろしオニオン)、ハーブサラダチキン、フランクフルト、小粒納豆で軽く夕食をとる。
ハーブサラダチキンの味付けがちょうど良い。
21時過ぎ、懇親会が終わった某2名と待ち合わせ、某店で懇親会。
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