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2017年10月12日 (木)

2017弾丸台湾視察2日目(第二原子力発電所:第二核能發電廠)

 現地時間1時(日本時間2時、時差-1時間)、就寝。

 現地時間6時に起床し、熱めのシャワーをゆっくり浴びる。

Twdsc_001715 現地時間7時、西門星辰ホテル本館地下の食堂に移動し、ビュッフェ形式の朝食をとる。ブロッコリースプラウトやサボテンの仲間である石蓮花の生野菜サラダ、スクランブルエッグ、ソーセージ、青菜の炒め物、プレスハム、焼きそば、煮卵、ご飯、豆乳といった内容。甘い豆乳ではなく、牛乳がほしかった・・・。

 現地時間8時30分、大雨が降る中、依頼したドライバーに来てもらい、新北市まで移動。海岸風景は、我が柏崎市と似たような感じである。

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Img_0750 交通渋滞もあり、現地時間10時、新北市萬里区にある台湾第二原子力発電所(第二核能發電廠)の北部展示館(日本でいうところのPR展示館)に到着。
 許所長以下、技術部門、広報部門の皆さんからお出迎え頂き、まずは日本からもってきたお土産(佐渡産海老煎餅、柏崎産コシヒカリ新米)と観光案内(繁体版)をお渡しし、しっかり柏崎をアピールさせてもらった。

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 台湾では今年1月11日、国内に6基ある全ての原子力発電プラントを2025年までに事実上廃炉、再生可能エネルギー拡大を促進、国営である台湾電力を解体・自由化を盛り込んだ電気事業法の改正案を可決している。
 しかし、再生可能エネルギーは不安定であり、なかなか拡大しておらず、IPP(Independent Power Producer:独立系発電事業)の参入により、電力網の不安定さが増している。
 現在の台湾では慢性的な電力不足が続いており、今年8月15日には、台湾第二の発電能力を持つ火力発電所・大潭電廠への燃料供給の操作ミスで、台湾本島全体で大規模停電が発生(誼蘭・花蓮・台東の3県を除く26の市・県)。
 原因は石油会社の台湾中油が操作ミスによるものであるが、これにより大潭電廠の発電ユニット6基すべてが停止した。
 しかも、停電当日は台北市の最高気温が37度以上という日であり、人の命にもかかわる事態であった。
*信号機が使えないため交通が混乱、ATMが使えないことでの不安、照明の代わりにした蝋燭で火災が起こり1名が死亡。

 この経験から、化石燃料が切れた場合の国民生活、産業への影響を深刻に考えるようになり、本当に原子力発電を撤廃してよいのかとの世論が沸き上がっている。
 今回の視察は、その2025年の原発ゼロ政策の影響、そして原子力発電の理解活動と地元活性化について学ぶというのが目的である。

1.The Legislature of Taiwan has decided the denuclearization policy by 2025. How are the current status and management of TPC's nuclear power stations going?

2.How do you care residential people who live around TPC's nuclear power plants?

 まず最初に許所長から以下のようなご挨拶を頂戴した。

 台湾と日本は密接な関係をもっている。地理的にも文化的にも近いうえ、台湾人は日本に旅行に行きたい人が多い。私自身も一年に1回は東京に行っている。家族は一年に2回以上に日本に行っている。原子力の分野では日本と台湾の交流は深い。また、原子力発電以外でも三菱、日立、東芝も台湾と縁深い。発電所のなかの機器も日本製が多い。この展示館は、日本の原子力発電所の展示館を参考にして作られた。柏崎刈羽原子力発電所とも深い交流をしている。去年もここの所員5人を連れて、柏崎刈羽原子力発電所を視察した。東京電力は福島の事故以来、安全対策をしていることを深い印象をもっている。特にABWRへの投資は一番大きいと思う。今日の二人、大歓迎します。

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 柏崎市議会代表として斎木裕司議員が挨拶をしたのち、早速、説明と意見交換となった。
 主な内容は以下の通り。

<第二核能發電廠の紹介>
 1975年に着工、98.5万kw二基。原子炉がゼネラル・エレクトリック(BWR6)、発電機がウェスティングハウス・エレクトリック。
・2016年の原子力発電量は4.8%。第二核能發電廠が重要な電源となっている。
・稼働率は2015年まで98.1%を誇ってきたが、現在は60.2%(1基停止)。・2014年、GEのなかで稼働率は世界第二位であった。
・ここ7年間に2回しか緊急停止をしていない。
・1号機は燃料ユニットからの希ガスが漏れており、補修を行った。
・燃料事故については、地元住民説明を行った。
・1号機の固定子の再配置も行い、時間がかかった。
・燃料プールへのキャスク、ラックを入れた。初めてのことなので、事前に
AEC(Atomic Energy Council:行政院原子能委員會)の許可などを得た。
・定期検査期間の短縮化に取り組んでおり、作業員の被曝線量も劇的に下がった。
・放射性廃棄物も著しく低下することに成功した。
・いつでも2号機は稼働できるようには準備している。

<台湾での1kWhあたりの発電コスト>
石油火力 3.61元
LNG  2.12元
水力   1.12元
石炭力火力1.09元

原子力発電2.34元
*反原発活動などにより、停止や点検の影響があり、コストが上昇

風力発電 2.25元
太陽光発電9.49元
------------
平均   1.95元

<台湾の新電力方針>
・2025年までに順次、原子炉を廃止。LNGを50%アップ、再生可能エネルギー20%アップ。

<台湾電力としてのビジネスモデル変化>
・2025年の原発ゼロに向けて、海外の原子力市場に参入するか、放射線技術を他に使えるかどうか、自分たちの技術をどう生かすか検討している。

<地元住民との関係>
・新北市の萬里区、隣接して金山区があり、補助金は2016年(民國105年)で両地区に約2万元が支払われている。

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・補助金の用途は、老人慰問金、学生補助、地域バスへの補助、建設補助などに使える。
・社員650人中、地元採用が61人。アウトソーシングの会社は664人。
・独居老人への慰問活動、小学生への貧困学生への補助制度も行っている。

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・地元学生のための奨学金制度もあり、今年は96人が対象として、318萬元。累計で3万人以上。地元の人を雇ってのメリットは多く、仕事に対する意欲が強い。アウトソーシングも地元が多い。
・金山小学校のバトミントン部を台湾電力内のプロ選手を監督して派遣。
・エネルギー科学教育のため、小中学校には台湾語で書いた教科書を作成した。また、エネルギーを題材にした絵画展も行ってる。
・発電所内のボランティアが放課後の勉強指導を行っており、週2回、2時間程度。
・両地区に緊急支援を行っており、2017年まで累計205件、52.5万元を支援した。
・地域マラソン大会や卓球、バトミントンなどの運動活動も応援。
・お寺などの宗教活動、民間の社団法人の活動にも参加するようにしている。
・環境保護活動として、社員及び住民で集まり20回程度行っている。
・土砂崩れ防止のための樹木を選んでの植樹にも取り組んでいるところ。
・稚魚放流も海洋資源のために行っている。

→ フィードバック、地方を深く理解すること、地方の就業の機会を増やす、地方の公共事業を増やすなど共存共栄を基本に考えている。

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Q.まずは高い稼働率に驚いたところ。2025年までに原発ゼロと今年1月11日に立法院が決めているが、本当に台湾の電力事情は大丈夫なのか心配があり、今回の視察にお邪魔させてもらった。産業界や台湾のエネルギー事情を考えれば、ある程度の原子力発電は維持すべきという声があると思うが、実際はどうか。
A.いまの与党の民進党は原発ゼロと言っている。2014年は14%が原子力発電であった。それをグリーンエネルギーに入れ替えるという目標になっている。発電所の立地自治体に対しては廃炉(デコミッション)での経済的影響があり、石炭火力では環境に悪く、LNG火力で代替するにしても燃料保存が一週間程度なので、よく考える必要がある。台湾人と日本人の違いとして、台湾人は感情的になる部分は大きいと思うので、原子力発電所のアレルギーが強い。冷静に考える人の声もあるにはあるが、多くの国民は専門家の声を聞くという感じではない。

Q.以前、澎湖島に行ったときには風力発電で台湾本島の電力に寄与するという話を聞いたが現状はどうか。今年8月15日の先の大停電もあり、台湾国民の声は変わってきたのではないか。
A.澎湖島はうまくいっていないので、電力制限をする可能性が高い。これから少なくとも(新しい発電設備ができるまでの)2年間、台湾電力供給は危ない橋を渡ることになる。政府のなかでも2025年まで原発ゼロができないという声もでてきている。

Q.当直員のクルーは何人で何交代、何班か?
A.1号機と2号機で25人、6班があり、三交代をしている。訓練班は1班、休憩班が1班。

Q.避難計画などはどうなっているか。
A.台湾国内の原子力発電所はアメリカ製がメインとなっているので、避難計画などはアメリカ式を採用している。福島の事故以降は、安全のために東京電力もお金を使っているが、台湾電力でも何億元を使っており、避難計画の考え方も変わった。避難計画の策定については、日本より厳しい反原発運動があり、より進んでいるように感じている。

Q.国家の根幹たるエネルギーの問題は国民党も民進党もないと思うが、この発電所の見学には政治家が来て、理解するようなことはないのか。
A.台湾の政治を見ると、政治家がそういった考え方になるのは難しいと個人的に思う。国民党は与党のときは原子力推進であったが、野党になった途端に反対となり、この発電所の閉鎖も求めたほど。

Q.日本では原子力立地自治体の議会や電力関係者、国が集まる原発サミットを2年に1回開催されているが、台湾ではそういった動きはあるか。
A.民国98年に全国的なエネルギーの会議があったが、定期的な会議はない。

Q.台湾電力と地元の議会や行政との定期的なミーティングは行われているか。
A.3か月に1回、原子力安全に関する会議をやっており、議員や原発反対派、学術関係者が参加している。この制度も日本から学んだ。

Img_0741 質問や逆に許所長からの質問、意見交換などもあって白熱し、現地時間12時を過ぎたところで、所員用食堂に移動しての会食となった。
 香魚(鮎)や旬であるモクズ蟹など地元の食材を使った料理をつつきつつ、核融合を含めた原子力技術の今後について意見交換。

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*旬で内子がたっぷり詰まったモクズ蟹を使った蟹うどん。今度は、萬里区の名物である萬里蟹を食べにまた来たい。

 現地時間13時30分、大変中身の濃い視察をできたことへの御礼、そして是非とも柏崎市にも来て頂きたいとお願いをし、台湾第二原子力発電所(第二核能發電廠)を後にした。

Img_0756 現地時間14時20分、帰り道の途中にあるということで九份に立ち寄る。しかし、あいにくの霧模様であり、景色も楽しめないため、20分程度の滞在で帰路につく。
 来週も来る予定であるが、そのときには晴れてほしいと思う。

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 現地時間16時40分、宿泊先の西門星辰ホテルA館に戻る。

 熱めのシャワーを浴びて、リフレッシュしたのち、英語版の資料を読み返す。

Twdsc_002521 現地時間19時、大雨が降る中、夕食を食べるためホテルから徒歩で移動。途中、屋台で好物の葱抓餅があったので、卵を追加してもらって食べる。35元(日本で約110円)という値段にも関わらず、ボリューム満点であり、冷たいビールがほしいところ。

Twdsc_002823 ウィンドウ・ショッピングをしながら、現地時間19時30分、昨年にも訪れた地元グルメのお店「鴨肉扁」(電話:02-2371-3918)に入る。
 台湾版ドラマ『孤独のグルメ』にも登場した創業50年のお店であり、「鴨」という店名ではあるが、現在使われているのはガチョウの肉。定番の麺、肉、野菜を注文した。

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*茹でキャベツ60元

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*ガチョウの燻製腿肉(鵞肉)300元

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*ガチョウスープの麺(鵝肉湯麺:米粉も選べる)60元

  現地時間20時40分、宿泊先のホテルに戻り、熱めのシャワーを浴びる。

 現地時間21時過ぎから、台湾ビール500ml3缶を飲みつつ、持参してきたノートパソコン(ThinkPad X61,SSD,SXGA+化,LEDバックライト化)で急ぎのメールや資料を作成する。

 現地時間24時、就寝。

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コメント

 新潟4区の金子めぐみ議員の10月8日のフェイスブックで、自分の支援者が「金子を応援するのであれば、明日から今の取引(驚くほど高額だそうです)を止める」と、相手候補の後援会役員より電話があり、今回は応援できないと言われたそうです。
 金子さんがフェイスブックでこの話をしたことに対し、他人を誹謗することで人気を集めるくらいなら、政策を論議して投票させる気を起こさせるべきではないかとの意見がありますが、事実なら顧客に対する弱みを利用して投票を強制するという恐ろしいことなので、水面下に隠さず社会全体に告発した方がよいのではないでしょうか。
 ひょっとするとこの一件だけでなく、あちこちである問題かもしれません。政治家全体で考えていただきたいと思っております。

 三条市民さん、コメントありがとうございます。
 おっしゃるように金子めぐみ議員の書き込みが事実であれば、トンでもないことと思います。
 同様の問題が他にもあるかも知れませんが、事実関係を示す証拠がないだけに、選挙期間中ということもあり、ハッキリとした対処が難しい問題です。

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