台湾・雲林県での台日米食文化交流
感動の古坑慈心農園、テレサ・テン出生地
現地時間1時(日本時間2時、時差-1時間)、就寝。
現地時間5時30分に起床し、熱めのシャワーで目を覚ます。
現地時間6時、ホテル2階のレストランを無理を言って開けてもらい、好物の葱油餅、スクランブルエッグ、カリカリに焼いたベーコン、ポテトフライ、豆乳、レタス、トマトで朝食をとる。
このホテルの葱油餅は薄くパリパリしたタイプで8枚も食べてしまった。アートデザイナーによるこのホテルのレストランは、1960年代のアーリーアメリカン調でデザインされている。
現地時間6時30分、「高雄佳適旅店系列JIA’S INN」をチェックアウトし、タクシーで移動。
現地時間7時、台湾新幹線の最終ターミナルである高鐵「左營駅」に到着し、現地時間7時25分発の台湾新幹線0806号(台灣高鐵700T型電聯車)に乗り込む。
*台湾新幹線内の大声での通話注意のイラスト。なぜか獅子(レオ)・・・。アメリカのドラマ『GRIMM/グリム』ならヴェッセン(Wesen)?
現地時間8時11分、雲林駅に到着。台湾新幹線の駅としては、2015年12月1日にできたばかりの新しい駅であり、在来線の台湾鐵道の駅名にはない「雲林」という名称がついた(住所は雲林県虎尾鎮)、唯一の高鐵駅となっている。
デザインも洒落ており、地名の虎尾から虎の尾や虎柄をモチーフにした柱で組まれたもので、同時に「雲」や「林」も表現しているという。
車で移動し、現地時間9時、古坑慈心農場に到着。この農園は有機栽培に拘っており、日本人が現地視察するのは今回の私たちが初めてだという。
一橋大学への留学経験もある総経理・陳明泉氏からご案内頂いた。
この古坑慈心農場の取り組みは、日本でも知られており、安倍晋三首相の奥様からの依頼で、陳明泉氏が訪日したほどである。
現在、台湾国内で有機栽培の加工品や健康的な農産物など販売する店舗をチェーン展開しており、150店舗を越え、年商40億円を越える大企業に成長している。
この農場は、多くの人に来てもらって有機栽培の良さを知ってもらうための場所にしたいということで、中国伝統風の建物を生かして、さらに整備を進めている。
*柔らかい藁敷きの栽培で、土では伸びないような大きな芋を育成。
*蓮の葉が浮かび透明度の高い人工池。ある種のビオトープである。
*米は二毛作で、蓬莱米。稲刈り時には田んぼは完全乾燥させる方式。
*農薬等を使っていないため、ジャンボタニシの卵(ピンク色の卵)も多くあった。
*堆肥作りもしており、販売している商品の包装も3か月ほどで自然分解される素材を使用。
*ミニブタが思った以上に大きくなったとして引き取った豚。人懐こい。
*自然がもつ力に回帰するような栽培を始めたため、多くの野鳥、渡り鳥が来るようになったという。
*社員10名で運営しており、履き古した長靴はそのまま植木鉢として流用。その他の廃品もアート作品の材料として使用。発想が面白い。
*農場内を歩き回ったあとに頂戴した蝶豆花のハーブティー。体の血が綺麗になるような味わいで、日本でも受けると思われる。
我が柏崎市でも魚のあらを使った有機肥料での有機栽培や竹炭など色々な手法で取り組みが行われている。そういった農業技術の交流をするだけでも、お互いのまちにとってかなりプラスになることが確認できた。
また改めて農業は販路やブランド価値など、きちんと戦略的に取り組めば儲かる業種であることも再認識。
視察のお礼に柏崎産の有機栽培版「新之助」やその他のお菓子をお渡ししたところ、有機栽培のスターフルーツを頂戴した。日本にはなかなか持ち帰れないので、明日の朝に食べてみたいと思う。
非常に勉強になり、柏崎市内の農業関係者をお誘いし、柏崎の自慢の米を持ってまた訪れたい、と御礼のご挨拶をさせてもらい、現地時間10時50分、古坑慈心農場を後にした。
今日の予定はここから公務となるため、私費で一緒に台湾に来たメンバーのなかで柏崎市議会議員だけ別行動。別途チャーターした車に乗り込む。
現地時間11時30分、西螺鎮の延平老街文化館(捷発乾記茶荘)に到着。
早速、財団法人雲林県螺陽文教基金会・西螺平老街文化館の何美慧・董事長からご説明頂いた。
ここは清朝の末期に許金氏が福建省から渡来し、茶屋・捷発乾記茶荘を開いたもの。1936年に建設された建物で、現在は文化会館、民宿として活用されている。
*何気なく飾られていた西螺信購販売利組合の茶碗。皇紀2600年の記念なので、昭和15年のものである。
ありがたいことに、正式な台湾式の茶道でお茶を飲ませて頂いた。テーブルの上にも何も置いてはならず、まずはお茶の香りをかぐところから始まる。
お茶を楽しんだところで、現地時間11時50分、東市場に移動。ここで雲林県との米食文化交流をしようという流れである。
もともと雲林県は農業生産高が台湾第一位の農業県であり、日本統治時代以降、稲作、糖業、畑作、そして山の方ではコーヒー産業が芽生えた地。
台湾での稲作については、多くの日本人がこの地の為に努力し、「蓬莱米(台湾米)の父」と呼ばれた台北帝国大学(現台湾大学)の磯永吉教授(広島県福山市新馬場町出身)によるジャポニカ米とインディカ米の交配実験などの功績にその中でも大きいと言われ、2012年には農業技師・末永仁とともに磯教授の胸像が台湾大学に設置されている。
両名の十年にわたる試行錯誤を経て、1921年(大正10年)に品種改良が成功した「台中65号」が、当時の第十代台湾総督・伊沢多喜男により、1926年(大正15年)、「蓬莱米」と命名された。
とりわけ、ここ西螺は米の産地で、かつては天皇陛下に米を献上したこともあり、まちの有名な餅屋さん「琴連碗粿城」(電話:05-586-5436)にも、
「日本の天皇がお好きな西螺米、西螺米のお餅です」と書いてある。
民進党の立法委員・劉建國氏をはじめ、地元・西螺鎮の鄭玲惠鎮長(人口約4.7万人の首長)、莿桐郷の廖秋蓉鄉長(人口約2.9万人の首長)、雲林県議会・江文登議員、雲林県議会・蕭澤梧議員、雲林県議会・廖錦珠議員、雲林県議会・王鐵道議員、雲林県議会・蕭澤梧議員からお迎え頂き、地元テレビや新聞など多くのマスコミも詰め掛けたなか、早速、台日米文化交流の開会となった。
まず最初に地元・西螺鎮の鄭玲惠鎮長から是非とも日本の柏崎市と農業をはじめとした交流を進めたいとのお話しがあったのち、柏崎市議会として年長者である佐藤和典議員から歓迎への御礼と今後の交流の促進についての挨拶。
そして、参加した柄澤均議員も含めて、今後、米食文化交流を進めていく意向書のサインをして、お互いに確認を行った。
意向書へのサインののち、米食文化交流イベントとして、
・日本の議員側は日本のコシヒカリに台湾料理の魯肉(滷肉、ルーロー)をかけた魯肉飯(滷肉飯、ルーローファン)作る
・台湾の首長・議員側は、台湾の米(濁水溪米)を使った日本料理の太巻き寿司を作る
に突入。
佐藤和典議員、柄澤均議員が悪戦苦闘しているなか、納豆学会主宰として台湾に納豆を広める使命を帯びている?ことから、日本から持ち込んだ納豆をかき混ぜる。
納豆が珍しいのか、周りの人が動画を撮り出し、そのうちの一本が以下。
日本人によるコシヒカリの魯肉飯(滷肉飯、ルーローファン)、台湾人による濁水溪米の太巻き寿司が完成したところで地元の伝統的郷土料理、そして納豆とともに昼食となった。
公務が忙しいなか多くの行政、議会関係者の皆さんにお集まり頂いたことに改めての御礼を述べ、昼食をとりながら今後の交流について意見交換。
ここで得たものを柏崎に持ち帰り、農業関係者のみならず、興味をもってもらえる柏崎市民の皆さんと共有し、互恵関係を築けるよう頑張りたいと思う。
ちなみに雲林県内の5都市(斗六市、麦寮郷、北港鎮、虎尾鎮、古坑郷)は、群馬県桐生市と2015年10月22日に「友好連携に関する覚書」を締結している。
現地時間13時30分から地元で薬局「良星堂」(1924年創業)を営みながら、この西螺延平老街のまち歩きガイドをボランティアで行っている程士晉さんから座学での説明ののち、実際にこの古い街並みをご案内頂いた。
延平老街は1935年に起こった大地震の被害を受け、日本統治時代の1937年(昭和12年)に作られた復興再建計画でできたまち。
当時のアール・デコ調の装飾に加え、各家の家紋や名前が入っている面白い建築様式であり、現在も80年前の面影をそのままにリノベーションをし、活用されている。
*「螺渓歯科」、非対称の二つの弧形を配した三角形の窓やゴーダ式のバルコニーは歯をイメージしたもの。
*西螺の特産品である醤油。昔ながらの製法で台湾国内でも人気。
*自家焙煎で台湾一美味いコーヒーを作ると言われる德記精品咖啡館の、コーヒーより味のある店主。
*ガイドの程士晉さんのお父さんはご高齢であるが、現在もお元気な日本語世代。当時使った尋常小学校の台湾総督府発行の国語の教科書がいまでも保存してある。
西螺延平老街の魅力の一端でしかないかも知れないが、堪能させてくれた程士晉さんに御礼を述べ、現地時間14時50分、チャーターした車に乗り込む。
現地時間15時10分、テレサ・テン(鄧麗君)の出生地である雲林県褒忠郷田洋村に到着。雲林県政府の文化資料科の曾惠君科長をはじめ、鄧麗君文化協会の総幹事・李堃玄氏、褒忠郷田洋社区発展協会・陳世宗理事長など行政のみならず、地元の方にもお集まりになり、ご案内頂いた。
*テレサ・テン(鄧麗君)が使っていたであろう魔法瓶と扇風機。没後、実兄より寄贈されたもの。
テレサ・テン(鄧麗君)は、職業軍人であった父(外省人)の勤務の関係でこの地で生まれた。その時の出産に立ち会ったお婆さんが現在も御健在であり、当時の様子もお話ししてくれた。
長らく台湾国内ではテレサ・テン(鄧麗君)の出生地はどこかで論争となっていたが、出生時の届け出が公開されたことで、ここ雲林県褒忠郷田洋村で確定。
しかし、なかなか日本人団体観光客が来ることはなく、知名度アップに悩んでいるという。
鄧麗君文化協会の幹事であり、台湾高山茶の会社を経営する黄茗偉氏から美味しい烏龍茶を入れてもらい、飲みながらの意見交換では、
・この出生地で日台での「テレサ・テン カラオケ大会」は実施してはどうか。
・1回目はこの地で行い、2回目は柏崎の文化会館アルフォーレのステージでやれたら良い。
・歌が上手いという評価だけではなく、衣装に関する賞、ユーモア賞も設定してはどうか。
・賞品はお互いのまちの特産品なら良い交流になる。
など前向きな内容となった。
皆さんに御礼を述べ、現地時間16時20分、現地を後にした。
現地時間16時40分、雲林県虎尾鎮にある雲林故事館に到着。
この雲林故事館は、日本統治時代の1920年から23年(大正9年から12年)の間に虎尾郡の郡主の公舎として建築された日本式の建物を使っている。
古い建物のなかで、雲林県の地元の物語を描いたり、また絵本の読み聞かせをしたり、情操教育の場として活用され、音楽の演奏会にも使われているという。こういった発想が素晴らしい。我が柏崎でいけば、小さな絵本館サバトが近い。
しかも我々への説明も、昔の自転車の荷台にのせた紙芝居方式であった。これは、視察対応の遊び心として、是非、真似したいところ(練り飴か梅ジャムせんべいでも用意)。
それぞれの絵本の意味までもじっくりご紹介頂いたのち、是非とも柏崎での絵本文化も見にきてほしいとお願いして、雲林故事館を後にした。
現地時間17時10分、雲林故事館すぐ近くの「スターバックス 雲林県虎尾店」(雲林県虎尾鎮林森路)で他のメンバーと合流。公務が終わったので、ここからは私費でのツアーである。
このお店の建物は、日本統治時代の昭和14年(1939年)に「虎尾合同庁舎」として建設され、それをリノベーションし、2014年1月からスターバックスと書店でうまく活用したもの。消防署としても使われたことがあるため、出場用の「滑り棒」も残っており、日本の昔の風景と現代の台湾、そしてスターバックスの洋風とで面白い空間である。
車で再度、雲林駅に移動し、現地時間18時12分発の台湾新幹線846号(台灣高鐵700T型電聯車)に乗り込む。夕方の雲林駅はライトアップされており、美しい駅となっている。
当時世界第二位の長さを目指し、1937年に建設が始まった西螺大橋や地元グルメの黄記九層粿など、まだまだ雲林県のすべてを楽しんだわけではないので、今後の交流事業でまた訪れたいと思う。
現地時間19時39分、台北駅に到着し、タクシーで移動する。
現地時間20時20分、先月も泊まった沃田旅店にチェックイン。日本で言えば農協の全国研修所だったところなので、とにかく食材にこだわったホテルであり、多少値が張っても泊まる価値がある。
荷物の整理が終わったのち、タクシーで台北最大の夜市である士林に移動する。
現地時間21時10分、士林市場に到着し、地下1階にある「晶棧熱炒」(電話:0918-440-579)に腰を落ち着ける。台湾ビールを飲みつつ、長かった今日の農場見学、公務となる記者会見と議員交流、まち歩きなどについて総括と反省?をしながらの会食。
このお店の海老チャーハンは、「台北市傳統市場対抗炒飯大会」という市場のチャーハンコンテストの2016年で金賞を受賞したというので、早速、注文した。
油が多めなものの、大きめの海老が目立ち、玉葱と青葱が甘みをだしていて、90元(約360円)以上の価値がある。
会食後、他のメンバーとは別れ、宿泊先のホテルに戻る。
現地時間22時過ぎ、熱めのシャワーを浴びてリフレッシュしたのち、持参してきたノートパソコン(ThinkPad X61,SSD,SXGA+化,LEDバックライト化)で急ぎのメールや議会関係の事務仕事。
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