会派視察2日目・愛媛県宇和島市(FMコミュニティ放送と防災)
鎮魂・紫電改展示館
1時、就寝。
6時に起床し、熱めのシャワーを浴びて、目を覚ます。
6時40分、地元の文化である朝うどんを経験するため、「やまこうどん」(電話:0895-22-2315)まで徒歩で移動。
まったくの民家であり、看板も無いとの噂通り、どこにあるのか分からず、出汁の香りを頼りに周辺をウロウロして、やっと入店することができた。
ほぼ民家であり、天ぷらを揚げる作業場所は押し入れを改造したもの。さらに常連さんらしき人は勝手に厨房に入って、自分で麺を茹でる・・・面白い文化である。
「うどん 380円」はじゃこ天、かまぼこ、衣ばかりの天ぷらが入っており、柔らかい麺に出汁がよく絡んでおり、滋味深い味。朝から食べるのもよく分かり、汁もほとんど飲んでしまった。
7時過ぎ、宇和島駅前の『鉄道唱歌』の作詞を手掛けた明治の詩人・国文学者である大和田建樹が宇和島市出身ということから建立された歌碑とコッペル社製9.66t形式ケ220を極力復元した模型を見学。
見学後、ホテルの部屋に戻り、今日の視察のための資料などを読み込む。
8時20分、ホテル1階レストラン「シレーヌ」で2回目?の朝食をとる。宇和島市の米どころという三間産のお米、無添加の麦味噌を使った味噌汁、名物のじゃこ天などの和食セットであり、1杯目のご飯は味噌汁だけで食べてしまい、2杯目はじゃこ天でかっこんだ。我ながら、アホである。
8時30分、ホテルをチェックアウトし、レンタカーで一路、愛媛県愛南町に向かう。
本来の視察目的は、宇和島市の防災関係でのコミュニティ放送であるが、視察日程が午後であり、午前中が空き時間となった。それでは時間がもったいない、ということから、柏崎ではうまくいっていない道の駅について、宇和島市内で成功事例と言われている道の駅を見学しようということになり、さらに片道だけ行くのはもったいことから、一旦、高知県近くの愛南町までの移動。
9時45分、紫電改展示館に到着したので、まずは本土防衛のため、若い命を国に捧げた英霊に対し、鎮魂碑の前で手を合わせる。
紫電改展示館の中に入ってみると思ったより大きく感じる紫電改の実機。これは昭和53年11月、愛媛県南宇和郡城辺町久良湾の海底40mに原型のまま沈んでいるのが発見され、翌年に引き揚げられた機体である。34年間も海の底で眠っていたものをよくここまで復元したとただただ感動。
最新鋭機の紫電改で本土防衛に活躍した帝國海軍343航空隊、通称「剣部隊」には、我が新潟県出身(現在の上越市、旧安塚)のエースパイロット・杉田庄一兵曹がいた。
昭和17年12月の初撃墜以来、個人での撃墜70機、共同撃墜40機という帝國海軍歴代3位の撃墜王であり、ラバウル航空隊にいた際に同じ新潟県出身である山本五十六長官を守り切れなかった責任を一人で背負って、本土防衛の任についていた。昭和20年4月15日に鹿屋基地から迎撃に離陸した直後をグラマンF6Fに狙われ、21歳の若さで散華。
東宝の映画『零戦燃ゆ』では、杉田庄一兵曹がモデルとなった浜田正一という人物が登場する。
平和の尊さを学べる施設でもあり、入場無料で現在でも年間2万から3万人の来場者があるという。貴重な機体である紫電改を目的に来る人も多いであろうことから、日本で2台しかなかった貴重なD51-1を破壊処分してしまった柏崎市が、いかに観光資源、シティセールスとしても間違った決断をしたのかが良く分かる。
また、管理されている方も大変アツい方で、戦闘服での接客で説明してくれる。
売店コーナーには「精神注入棒 750円」なども販売されていたが、帝國海軍の元343航空隊員、ご遺族の皆さんから寄せられた手記で昭和56年に発行されたものの再発行版『三四三空隊誌』(2780円)を購入。平成21年の紫電改引き揚げ30周年記念イベント「あいなんからの祈り」に際して、再発行されたもので、ここでしか買えない貴重な本である。
10時35分、アツく説明を頂いたお礼をのべ、紫電改展示館を後にした。
10時50分、郊外にありながら、物産販売はもとより、温泉、プール、研修施設などが複合的にあって人気という「道の駅 津島やすらぎの里」に到着。
建物自体にも瓦が使ってあり、デザインも良い施設で、平日にも関わらず、駐車場にはひっきりなしに車が出入りしている。
売っている商品も地元らしいみかんをはじめ、日配品から地元の海産物、金魚、さらには手芸用にシーグラスまで幅広く、ここですべて買い物が終わるという充実ぶりであった。
人気なのもよく分かり、決定的に違うのは「やる気」ではないかというのが率直な感想。
大ホールがある施設の一角を使った往年の名女優・淡路千景の遺品展も行われていた。
郊外に作る道の駅は、こういった一か所で用事が足り、かつレジャーとしても一日楽しめるものでないと成功はしないであろうことを再認識。柏崎市としてもよく考える必要がある。
さらに移動し、11時40分、宇和島市の中心市街地にある「道の駅 きさいや広場」に到着。郊外型の成功事例に続き、今度は中心市街地型の道の駅である。
かなりの人気とは聞いていたが、平日にもかかわらず、駐車場に車を入れられないほどの混雑ぶりにまず驚いた。
とにかく活気があり、何か買いたくなるような仕掛けも多く、勉強になることばかりであった。もちろんのことながら、地元名物である生卵に鯛の刺身をつけるタイプの宇和島鯛めし(伊予水軍が発祥と言われる)を提供するフードコートなども充実している。
敷地内には「うわじま牛鬼まつり」で実際に使用される3体の牛鬼を展示した牛鬼館もあり、文化も体験できる。
また、2001年にハワイ・オアフ島沖で、浮上してきたアメリカ海軍の原子力潜水艦グリーンビルと衝突し、悲劇となった愛媛県立宇和島水産高等学校の練習船・えひめ丸の鎮魂の歌碑「あゝえひめ丸」も設置してあった。
12時15分、昼食の時間となったが、朝食を食べ過ぎたことと、物産を見ているうちにお腹いっぱいの感になったので、道の駅の中にある「手作りパン工房みなみ」(電話:0895-28-6373)で「みかんソフトクリーム 260円」を購入し、スイーツ昼食にする。
ソフトクリームというより、シャーベットに近く、苦みでシッキリする味わいである。
12時50分、宇和島市役所に到着し、13時から行政視察。まず最初に、宇和島市議会の清家康生議長から以下のようなご挨拶を頂戴した。
「柏崎市といえば2007年の中越沖地震のときの印象が強く、市民の皆さんの復興への努力には感銘した。平成17年に合併をしたが、少子高齢化に歯止めがかかっていない。防災に関しては、こちらこそ柏崎市へ行って学ばなければならないこともあると思うが、今日は有意義な研修になれば幸いと思う。」
当会派からも視察受け入れへの御礼と柏崎市の紹介の挨拶をさせてもらい、調査内容の説明となった。
調査項目は、「FMやスマホなど多様な方法による防災情報の伝達の取り組みについて」である。
柏崎市では現在のアナログ方式の戸別受信機で防災無線などを流しているが、今後はコミュニティFMを使ったFMラジオ方式への移行を計画しており、実際に柏崎市の執行部も2年ほど前に視察に来ている。
今回は、柏崎の防災ラジオをいかに運用すべきか、またどう移行するのかを勉強するための視察である。
→ 会派視察・秋田県大仙市1日目:防災行政無線へのFM導入について
総務部・危機管理課からご説明頂いた主な内容は、以下の通り。
1.宇和島市の概要
・人口78068人、高齢化率37%
・南海トラフ巨大地震の想定範囲であり、M9.0、深度7を想定されている。最大津波高6.5m。
2.情報伝達手段
・コミュニティFM放送の活用
公設民営でFMがいや(平成24年3月に開局)を使い、365日、24時間放送。
送信所は宇和島市泉が森、津島町高田の2箇所があり、割り込み放送
・防災ラジオ(平成25年度)
全戸配布に無償で配布、受信改善。4万台を一括購入。
個別要望による配布は一台3000円。
・長距離スピーカ(平成27年度)
旧宇和島地区・吉田の一部
・地区放送設備のFM連携(旧宇和島地区)
・屋外放送設備整備(旧吉田・三間・津島)
・防災ラジオ等の自動放送
・宇和島市安心安全情報メール
・スマートフォン用アプリ
・テレビのデータ放送(NHK)
・ケーブルテレビのデータ放送(UCAT)
・移動系の無線設備(IP無線機)
・双方向通信設備(防災ファブレット端末)
・避難所WIFI・特設公衆電話の事前設置
・テレビ・プッシュシステム
Q.FM放送を活用することとした理由は何か。
A.回答整備・維持に係る経費について経済的優位性があると認められるほか、一般のFMラジオ・カーラジオで聴取可能な点や、災害時に臨時災害放送局に移行できる点など、防災行政無線にないメリットが得られるため。
・防災行政無線をデジタル化し、これまで同報系の放送設備が未整備であった旧宇和島市を含め、合併前の整備水準まで整備した場合に、非常にコストがかかってしまう課題があった。
デジタル化での概算設計費14億円(屋外拡声子局含む)
個別受信機@4万円×4万台=16億円
社会資本総合整備交付金(1/2)が活用できていたが、平成27年以降対象外
・統ーシステム導入の検討が進まなかった中、平成22年度に宇和島市域のコミュニティFM局の開局方針(市長公約)が打ち出され、防災目的での利用を見据え、平成23年度に開局した。
整備方針:公設民営
開局に係る初期費用3800万円(市単、合併特例債)平成23年
広報番組制作委託料500万円/年 相手方:開局者(宇和島CATV(株))
・FM放送の防災目的利用に係る整備費用のうち主な費用
宇和島市防災ラジオ等2億1000万円(市単、合併特例債)平成25年
(防災ラジオ4万台、センター設備(自動起動のための中継装置等))
FM割込告知システム等 2500万円(総務省1/2補助)平成25年
屋外拡声子局(旧宇和島)1億3000万円(市単、合併特例債)平成25年
屋外拡声子局(旧三町)2億9000万円(市単、合併特例債)平成27年
Q.スマートフォンアプリで観光客等への避難案内をするとしているが、観光客への周知方法はどのような方法か?
A.伊達なうわじま安心ナビに係る情報発信媒体(チラシ・ボスターなど)を市観光拠点等に展示するほか、SNS(フェイスブック)による周知も行うなど、スマートフオンユーザーには対してアプリをインストールしていただく機会を増やしていくよう努力している。
また、昨年度は、観光モード、防災モードに加え、健康モードも新しく 機能追加し、日頃から使用していただけるようエ夫を重ねている。
平成29年10月末現在インストール数9396件。
Q.FM放送の難聴地域はなかったのか、また、その場合の解決策はどのようにしたか。
A.基本的に放送エリアは2つの送信所により、市全域を力パーしているが、当市では、屋内での情報伝達に注力していたため、屋外では受信できる場合であっても、屋内の難聴地域は潜在的に市全域に広く分布している。これら難聴地域は、地域情報インフラ、建物の構造や、立地条件などにより次の手法で受信改善を実施している。
戸別屋外アンテナ
CATV+分配ケーブル
TV共聴施設へのFM波混合+分配ケーブル
FM共聴施設+分配ケーブル
(費用)
・戸別屋外アンテナ
・CATV+分配ケーブル
上記2つの累計で1100件、1500万円。平成25年
アンテナ部材費1000式600万円
ケーブル部材費4400式200万円
・TV共聴施設へのFM波混合+分配ケーブルエ事費 350万円
共聴組合:5団体 集合住宅共聴:13棟
・FM共聴施設+分配ケーブル 工事費400万円
自治会:1団体
・防災共用型放送設備(平成25年~)
地区の集会所、商店街アーケード、大規模施設の放送設備などと連携し、市の防災設備を組み合わせることにより、防災ラジオと同じ内容の 緊急放送を実施するもの。
地区放送連携57カ所(当時)(現在65カ所)
工事費 43000万円
アーケード連携4カ所
施設放送設備連携2カ所
→今後小学校の放送設備改修に併せて防災共用型に移行の予定
・防災共用型放送設備整備事業補助金(平成28年~)
防災共用型の放送設備を整備、又はすでに整備済みの放送設備を修繕するために要する費用を、事業費の2/3(上限100万円)を補助するもの。
平成28年 新規整備2件 修繕3件130万円
Q.災害時のCATVケーブルの断線は想定しているか。
A.CATVの断線は想定されるので、順次光ケーブルに移行している。光ケーブルであれば、かなり強いため耐えられると考えている。
Q.自動起動信号はどんな方式を採用しているのか。
A.DTMF(秋田県横手市、秋田県鹿角市も採用)で起動させている。信号音がうるさいとの苦情がある。
Q.地域の鳴り分けはどれくらいの区分けでやっているのか。
A.合併する前の旧自治体別に4つ、また屋外の子局は個別に一つの信号を当て、学校区でも鳴り分けできるようにしている。
Q.鳴り分けの変更は送信側からできるシステムということで良いか。
A.夜間などに送信側から設定変更を行うことができる。
Q.コミュニティ放送としての維持するための諸条件があると思う。災害時にはどういう扱いになるのか。
A.コミュニティ放送としての自主放送の割合が決まっている。災害時には、コミュニティ放送ではなく、臨時災害局に移行する。その前のコミュニティFM側と協定を結んでいる。
Q.防災用ファブレット端末の運用費用、競争入札でどのようになったのか。
A.月額1台800円(AU)、7GB、電話かけ放題となっている。
Q.放送設備の健全性の確認はどうしているのか。
A.月に1回、第一日曜日に最大音量での生音声での訓練放送をしている。
Q.聴覚障碍者への対応はどうか。
A.テレビを自動で立ち上げての文字表示ができるよう総務省消防庁「災害情報伝達手段等の高度化事業」平成29年度実証実験により整備。インターネット回線を使うので、CATVとは関係なくできている。
Q.ラジオの製造はどこか。
A.広島の会社にお願いしている。入札には3社ほどが来た。
視察項目についての質疑応答が終わったのち、議場を見させてもらったところ、国旗、市旗が掲揚してあり、さらに中央上部には光が入り込むような明るいデザインであった。しかし、これから議場棟は新規に建て替えをするという。
15時過ぎ、御礼を述べ、宇和島市役所を後にした。正直なところ、もう早く視察に来て勉強していれば、現在進んでいる柏崎市の防災FMの計画も少し違ったかたち、さらにいえば全国的にも先進的なものにできたのではないかと悔しい思いである。
17時20分、宿泊先であるダイワロイネットホテル松山に到着し、チェックイン。部屋に入り、荷物の整理や急ぎの電話などバタバタと過ごす。
18時30分、ホテル近くの「嵐を呼ぶ 漁師小屋」(電話:089-909-5125)に入り、今日の視察の総括を兼ねた夕食会。このお店の名物という生きたまま食べるぼたん海老や牡蠣のヤカン酒蒸しなどをつつきつつ、柏崎で道の駅を成功させるには何が必要かを話し合う。
20時10分、会計を済ませ、帰り支度をしているところに旧知の愛媛県議会・菊池伸英議員と思わぬ再会。松山市議会議員時代、全国若手市議会議員の会からのお付き合いであり、ネット上以外で会うのは数年ぶり。
あまりのタイミングに驚き、全員で記念撮影をした。松山市の人口は約52万人。単純な確率でいけば、52万分の1で偶然に出会ったことになる。人の縁とは不思議なものである。
20時30分、「サーティワンアイスクリーム 国際ホテル松山店」(電話:089-986-3131)に入り、「マジカルミントナイト」の「レギュラーコーン 360円」を食べる。
21時、ホテルに戻り、持参してきたノートパソコン(ThinkPad X61,SSD,SXGA+化,LEDバックライト化)で急ぎのメールなどを処理。
24時、熱めのシャワーを浴びたのち、今日購入した再発行版『三四三空隊誌』を読む。
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