柏崎市主催講演会、橘川武郎教授「エネルギー政策の未来と柏崎」
2時、就寝。
7時に起床し、大粒納豆、目玉焼き、ピーマンの油炒め、ニンニクの醤油漬け、豆腐と若布の味噌汁でご飯2杯の朝食をとる。
午前中は一般質問の資料をまとめる予定であったが、来年の統一地方選挙(新潟県議会議員選挙、柏崎市議会議員選挙)についてのマスコミや市民の方からの問い合わせ電話ラッシュとなり、対応に追われる。
13時10分、チーズフランスパン、魚肉ソーセージ、味噌をつけたキュウリ、低脂肪乳で昼食。
食後から事務所で事務仕事。やはり途中で、新潟県議会議員選挙に関する問い合わせ電話があり、仕事が手につかず。
18時過ぎ、柏崎エネルギーホールに移動し、18時30分から柏崎市主催の講演会「エネルギー政策の未来と柏崎」(共催:柏崎商工会議所、柏崎技術開発振興協会、柏崎青年工業クラブ、柏崎青年会議所、新潟産業大学、新潟工科大学)に出席する。
櫻井市長の挨拶ののち、東京理科大学大学院経営学研究科・橘川武郎教授を講師とした講演会。教授のご祖父が日本石油の柏崎工場で働いていたことから、お母様が柏崎出身で柏崎小学校卒業、柏崎には特別な思い入れがあるとのことであった。
そして、原子力発電については、「中間派」であり、使えるものは使って、いずれ閉じるというお考え。講演の主な内容は以下の通り。
1.原子力:基本的な考え方と大局観
・資源小国の日本、エネルギーの選択肢は安易に放棄すべきではない
・大胆なシフトとバランスの維持でエネルギーのベストミックスを追求していきたところに日本人の知恵がある。
・その意味では安易に原子力の選択肢を捨てるべきではないが、バックエンド未解決なら原子力は人類全体にとっても、2050年ごろまでの過渡的なエネルギーにとどまる。
・選択肢として「リアルでポジティブな原発のたたみ方」も必要
原子力推進派「リアリティの欠如」
原発事故の賠償が無限責任なのは、日本だけ→ 安全神話
原子力反対派「ポジティブな対案の欠如」
・石油危機~21世紀前半における原発の人類への貢献については、正当に評価する。
2.原子力政策:現状認識と打開策
・なぜ原子力政策は漂流しているのか
「叩かれる側から叩く側にまわる」
電力・ガスシステム改革(民間企業を叩く)には熱心だが、原子力政策は先送り3年先しか見ない政治家・官僚。30年先、50年先を読む眼力が求められるエネルギー政策。
・原子力政策再構築の方向性
(1)リプレースと依存度低減の同時追及
(2)postもんじゅのバックエンド対策
毒性低下のための技術革新とオンサイト中間貯蔵
(3)オプションとしての「リアルでポジティブな原発のたたみ方」
3.原子力の将来:リプレース&依存度低減
・エネルギー基本計画の複雑な提言
重要なベースロード電源
しかし依存度を可能な限り低減する
しかし維持してゆく規模を見極める
・リプレースの必要性
「S」(=危険度最小化)の最善策は最新鋭設備(現在動いているPWRは古く特に深刻)
コスト面、技術継承面でも必要性が指摘されている
2030年に間に合わない → 2040年の検討も
・リプレースと依存度低減を組み合わせる
「S+3E」の真の実現と公約の遵守
こそこそしているから「原発当面必要」でも「再稼働ノー」となる
政府の電源ミックスは「ひいきの引き倒し」
4.Optionとしての「原発の出口戦略」
・「北風」ではなく「太陽」で原発依存度を低下させる
1.原発→火力発電所(LNGコンバインドないしIGCC)への転換
送電線・変電設備の活用、火力シフト
2.廃炉ビジネスの展開
原発地元経済への配慮
3.オンサイト(発電所内)中間貯蔵/ワンススルー(直接処分)を軸としたバックエンド対策
→ 相当額の「保管料」の支給
5.二つの審議会
・総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
ターゲットは2030年
現行「エネルギー基本計画」の骨格を変えない
・総合資源エネルギー庁エネルギー情勢懇談会
ターゲットは2050年
原子力は低炭素の選択肢
再生エネルギーの主力電源化
6.日本政府の電源ミックスの問題点
・政府決定の2030年の電源構成
原子力:20~22%
再生エネ:22~24%
(水力9%、地熱1%、バイオ4%、太陽光7%、風力2%)
火力:56%(LNG27%、石炭26%、石油3%)
コジェネ1190億kWh(11~12%):火力の内数
・二重の意味で公約違反
(1)「原発依存度を可能な限り低減する」に反する
「40年廃炉」ではなく「60年廃炉」を事実上原則化
(2)「再生エネルギーを最大限導入する」に反する
2009年の麻生内閣方針(2020年に再生エネ電源20%)より後退
今回の環境省試算(中位で再生エネ30%強)と大きく齟齬
→ 原子力15%、再生30%、火力55%(内コジェネ15%)とすべき
7.柏崎刈羽原発問題と東京電力問題
東京電力による柏崎刈羽原発再稼働は困難
・福島第一事故処理国民負担の前提は東電の徹底的なリストラ
・新新総合特別事業計画の生命線は柏崎刈羽原発の再稼働
・東電の手では再稼働しない→東北電力+日本原電?
・東電は火力発電所も売却→石炭火力の新設は不要?
・それでも東電はネットワーク/小売会社として生き残れる。
・卸電力取引所への「玉出し」
8.第5次エネルギー基本計画の問題点
(1)もともとの15年策定のミックスが問題あり
高すぎる原子力:17基中10~15基が「60年運転延長」
低すぎる再生エネ:環境省案は中位31%、高位36%
(2)最近の変化を反映していない
再生エネコストの劇的な低下、原子力再稼働の未進捗、ベースロード電源のあり方の変化、原油価格とLNG価格とのデカップリングの始まり、EV化見通しの上方修正
(3)懇談会の50年見通しと合わない
再生エネの主力電源化→30年目標をそのまま据え置き
「脱炭素の選択肢」としての原子力→リプレースの回避
現在39基すべて60年延長でも50年18基、60年5基、69年0基
リプレースと原子力依存度低減とは矛盾しない。
9.省エネルギーの深耕
・省エネルギー先進国・日本
1970年代の石油危機を受け産業部門で本格化
1990年代からの「トップランナー方式」の取り組み
2000年代からの運輸部門での燃費改善(ハイブリッド化等)
・民生部門に重点をおく省エネ
住宅・建築物における省エネがカギ握る
ZEH(zero energy house)、ZEB(zero energy building)の開発・普及
・運輸部門・産業部門における深耕
運輸部門・産業部門における省エネの過大評価を避ける
運輸部門での次世代自動車の開発
産業部門での高効率モーターの導入
10.再生可能エネルギーの大幅拡充
・大幅拡充を前提に、技術的・制度的ネックを1つ1つ克服する
・再生可能エネルギーには2つのタイプがある。
<タイプA>(15%):地熱、水力、バイオマス
規制による制約(地熱、小水力)、温泉業者との利害調整(地熱)、物流コスト(バイオマス)
規制緩和、温泉業者とのwin-winモデル構築が鍵
<タイプB>(15%):風力、太陽光
固定価格買取制度(Feed In Tariff)後こそが問題
市場ベースでの導入が不可避
ネックとして送変電網
(1)原発廃炉分・空き容量の利用
(2)「使わない」:スマートコミュニティ、パワーtoガスや水素としての運搬
(3)「作る」=電力会社のネットワーク会社化
11.柏崎とエネルギー
・「柏崎市地域エネルギービジョン」(2018.3)で炭素生産性まで言及しているのは良い。
・西に海があれば風力は成立しうる。日本海側は適地である。
・電気と熱を合わせてとるのが水素。熱をそのまま使う仕組づくりも必要となる。
・自治体がエネルギー会社を作るためには送電線を自治体で保有していなければならない。託送ではビジネスとして成り立たない。
講演ののち、質疑応答の時間となったものの、原発反対派を名乗る方から質問ではなく単なる自分の意見、さらには講師が技術系ではないと言っているにも関わらず技術系の質問をするなど、自己主張のためと思われるような発言が続き、うんざり。
思想信条は自由であるが、講演者に対する敬意や質問の仕方、マナーは最低限、押さえておいてもらいたいところである。
20時過ぎ、会場を後にし、自転車に乗っていたところ、「アンタ議員だろ?」と話かけられ、原発反対論を約10分。その内容に対し、技術的なことを説明するも、
「嘘をついている。安心できない」
と会話にならず。技術的な数字があることは嘘ではなく事実(ファクト)。それを嘘と言われては、その先に進まず、建設的な議論もできない。しかも、安心は心の問題である。
技術論なら最低限の基礎知識、機械や電気の特性を勉強されてから、同じステージで議論しましょうということをお話しし、自宅に戻る。
21時10分、皮を剥いだ鶏胸肉の酒蒸し、ツナとトマトのサラダ、スナップエンドウの胡麻和え、小粒納豆と梅肉の和えもの、べったら漬け、ビール500ml3本で夕食をとる。
鶏胸肉の酒蒸しは低温調理をしたため、柔らかく仕上がった。
食後から事務所で事務仕事。
23時、熱めのシャワーを浴びてリフレッシュしたのち、観光ツアー企画の手引きなど資料を読み込む。
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